YOSHIKIの持つ“二つの色”が混ざり合い“紫”に染まった夜ーーHYDEも登場したクラシック公演2日目

『YOSHIKI CLASSICAL 2018』第2夜レポ

 9月に幕張メッセで行われた前代未聞の無観客ライブも記憶に新しいX JAPANのリーダーであるYOSHIKI(Dr/Pf)が11月12日、15日の2日間、YOSHIKI CLASSICALとして東京・国際フォーラム ホールAでコンサート『YOSHIKI CLASSICAL 2018 ~紫に染まった夜~ YOSHIKI with Philharmonic Orchestra』を開催した。X JAPANのドラマーとして時にドラムを破壊するほどに感情的なYOSHIKIが、それとは対照的な彼の音楽の原点であるクラシックをピアニストとしてフルオーケストラを率い、繊細で壮大な世界を描くのがこのYOSHIKI CLASSICALである。

 YOSHIKI CLASSICALとしてのステージは2017年1月の米・カーネギーホール以来1年10カ月ぶりで、12日の初日公演には世界的ソプラノ歌手であるサラ・ブライトマンをスペシャルゲストとして招き、コラボ楽曲である「Miracle」を披露した。本稿では2日目である15日の公演の模様をレポートする。

 本公演は2部制となっており、1部では2005年に行われた『愛・地球博』のイメージソングである「I’ll BE YOUR LOVE」や、ゴールデングローブ賞の公式テーマソングである「GOLDEN GLOBE THEME」など、YOSHIKIが提供した楽曲を中心に演奏された。また、映画『We Are X』の主題歌「LA VENUS」を演奏した際にX JAPANの歴史が壮絶すぎるあまり映画のオファーを断ろうとした過去、しかしその壮絶な過去を乗り越えて現在も音楽を続けているYOSHIKIやX JAPANの生き様は誰かに勇気を与えるのではないかと映画の制作を決意したこと。そして、制作の最中に過去を振り返り流した涙がYOSHIKIの心を洗い流し、未来へ向かうパワーをもらったことを明かし、過去はその先どう生きるかによって暗いものも輝かしいものに変えられるというメッセージを送った。

 クラシックのコンサートというとどうしても格式の高いイメージを持ってしまうが、YOSHIKI CLASSICALはYOSHIKI自身が楽曲への想いや当時の話を交えながら進行することもあり、終始和やかなムードで進み、すでにX JAPANのライブでも披露されている新曲「KISS THE SKY」では会場から大合唱が起こり、クラシックらしからぬオーディエンス参加型のコンサートに「みんな歌上手いね」とYOSHIKIが会場の笑いを誘うシーンも見られた。また、YOSHIKIの代表曲「FOREVER LOVE」では牧阿佐美バレヱ団のダンサーとのコラボレーションも見られ、クラシックのコンサートの概念を覆すエンターテインメント性にも驚かされた。

 1部の締めくくりに演奏された天皇陛下御即位十年の奉祝曲「ANNIVERSARY」では当時バンドが解散し、メンバーであるHIDEを亡くし、どん底だったときの最後の力を振り絞って書いた曲と振り返り、その壮絶な人生とリンクするような長調と短調の繰り返しによるスリリングでダイナミックな演奏を披露した。平成元年にX JAPAN(当時はX)としてデビューしたYOSHIKIはまさしく平成を象徴する人物であり、演奏後に彼に贈られた拍手はその間の波乱万丈な人生と、それを乗り越えた現在に対しての拍手のようにも感じられ、間もなく終わろうとしている平成の最後にこの曲を演奏して万来の拍手を浴びている様は、辛い過去を輝かしいものに変えた瞬間そのものだったように思う。

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