日向秀和、吉田一郎、MIYA……ZAZEN BOYS歴代ベーシストの特徴を探る

 昨年加入したZAZEN BOYS初の女性メンバーであるMIYAは、1997年に地元沖縄で女性3人組のハードコアバンド・BLEACHを結成。メジャーデビューやアメリカツアーを経験するも2009年に解散し、それと前後して結成された385のメンバーとして上京している。ハードコア、ファンク、プログレを織り交ぜた音楽性はZAZEN BOYSとも親和性が高く、特に元School Food Punishment/現Siraphの蓮尾理之をキーボードに迎え、2013年に発表した『人間』は素晴らしい作品だった。

 MIYA個人としては、MIYAVIが2011年に複数のベーシストとコラボした『WHAT'S MY NAME? e.p.』に参加し、この作品には日向秀和と吉田一郎も参加。また、同じくこの作品に参加していたKenKenとは親交が深く、つい先日もKenKenが沖縄で企画した『KenKenの宴 2DAYS』に385として出演している。

 MIYAの特徴と言えば、野性味溢れるプレイスタイルで、特に強靭なスラップベースは前任の二者にも決して劣らない。また、以前筆者がインタビューをした際には、プリンス好きを公言し、生ものとしてライブを重視する考え方を語ってくれていて、ここも向井とシンクロする部分が大きく、彼女の加入はまさに納得だ。

ZAZEN BOYS『すとーりーず』

 ZAZEN BOYSが現時点での最新作『すとーりーず』を発表してから6年が経過。向井は向井秀徳アコースティック&エレクトリックやKIMONOSとしてのライブ活動、宮藤官九郎作品での音楽制作といった個人としての動きが目立ち、先日もNHK『シャキーン!』での人間椅子・鈴木研一との紙相撲バトルが大きな話題を呼んだ。

 その一方、MATSURI STUDIOで繰り返されるセッションによって、メンバーの呼吸を合わせ、そこから独創的な楽曲を構築していくZAZEN BOYSは、簡単には動かせなかったのだろう。しかし、MIYAの加入が新たな起爆剤となることは間違いない。12月のツアーは今後のバンドの行方を占う意味でも、必見のツアーである。

■金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『ナタリー』『Real Sound』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』『bounce』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。

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