『PRINCE OF LEGEND』なぜ80年代洋楽ヒットをカバー? 選曲に見るEXILE TRIBEの野心

 m-flo×EXILE TRIBE×1980年代洋楽ヒット曲。そんな予想外の組み合わせによる音楽が彩っている作品が『PRINCE OF LEGEND』だ。

 『PRINCE OF LEGEND』は、映画、ドラマ、ゲーム、ライブ、イベントでの展開が告知されているメディアミックス作品。「個性豊かな王子が大渋滞!」というキャッチコピーのこの作品には、片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、鈴木伸之(劇団EXILE)を筆頭に、LDHのEXILE TRIBEの面々が多数出演している。そして、エグゼクティブプロデューサーを務めているのはEXILE HIROだ。

 この作品の音楽をプロデュースしているのは、LISA復帰の話題も記憶に新しいm-floで、ドラマの主題歌「Piece of me」も担当。さらにドラマ、映画の挿入歌として、「m-flo presents PRINCE PROJECT feat. 片寄涼太」「m-flo presents PRINCE PROJECT feat. 川村壱馬」などによる楽曲が「チーム曲」として用意されている。

 注目すべきは、チーム曲が1980年代の洋楽ヒット曲のカバーであることだ。執筆時点で音楽配信サービスで聴けるのは「m-flo presents PRINCE PROJECT feat. 片寄涼太」による「PSYCHIC MAGIC」。これはなんとG.I. Orangeの1985年のヒット曲のカバーなのだ。今後も「m-flo presents PRINCE PROJECT」による「99 Red Balloons」、「m-flo presents PRINCE PROJECT feat. 川村壱馬」による「Take On Me」など、全7曲の配信がアナウンスされている。

 なぜ今回、EXILE TRIBEのメンバーはこうした1980年代の洋楽ヒット曲のカバーに挑戦することになったのだろうか?

 まずすぐに思い浮かぶのは、近年のLDHの世界展開だ。オランダのDJであるAfrojackは、現在はLDH EUROPEのCEOでもある。彼が三代目J Soul Brothersの登坂広臣のソロアルバム『FULL MOON』にも参加しているように、現在のEXILE TRIBEは海外のアーティストとの交流も活発である。

 さらにm-floのスタンスは、そうした感覚に見事にフィットする。LISAは日本人とコロンビア人のハーフ。VERBALと☆Takuの出会いはインターナショナルスクールのクラスメイトだったことで、ともに留学経験もある。そういうミックスカルチャーが生んだグループがm-floだ。

 今回m-floが担当した主題歌「Piece of me」は、書き下ろしながら一瞬カバー曲かと思うような1980年代色の濃いサウンド。特にイントロのブラスの音色は、Strawberry Switchbladeが1984年にヒットさせた「Since Yesterday」へのオマージュだろう。

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