クレイジーケンバンドの豊かで奥深い音楽世界を堪能 20年の軌跡辿ったスペシャルなライブ振り返る

CKB、スペシャルライブを振り返る

 クレイジーケンバンド(以下CKB)が2018年9月24日、横浜アリーナでデビュー20周年記念スペシャルライブ『CRAZY KEN BAND TOUR 2018 GOING TO A GO-GO』を開催した。約3年ぶりとなるオリジナルアルバム『GOING TO A GO-GO』の楽曲はもちろん、1998年のデビューアルバム『PUNCH!PUNCH!PUNCH!』の収録曲もたっぷり披露されたこの日の公演は、デビューからの20年の軌跡をタイムマシンのごとく行き来しながら、CKBの音楽性ーーロックンロール、ジャズ、ファンク、ソウルミュージック、ボサノヴァ、レゲエ、歌謡曲、R&B、ヒップホップをはじめとする多様な音楽が東洋一のサウンドマシーンことCRAZY KEN(横山剣)の脳内サンプラーの中でハイブリッドされたーーをショーアップされたステージングとともに体感できる、まさにスペシャルな内容となった。

 VIDEOTAPEMUSICによるCKBの過去のビデオテープをつなげたオープニング映像で盛り上がった後、横山剣(Vo)をはじめとする総勢11名のメンバーがステージに登場。「大映スターパレード」で華々しくライブの幕を切って落とし、いきなり最新アルバムの楽曲「山鳩ワルツ」から「GOING TO A GO-GO」、1stアルバムの「暴動」を繋ぐ。さらに小野瀬雅生(Gt)のジミヘンばりのギターが炸裂する「けむり」も。強烈なダイナミズムを放ちまくる演奏によって、脂っこいナンバーがさらにギトギト状態に。たまらない。

 「もともとは静岡と福生で2本営業をやるためのバンドだったんですけど、21年経ってしまいました。今年でデビュー20年。バンマス(廣石恵一/Dr)が酔っぱらって“あと20年やろう”って言ってたんですけど、Buena Vista Social Clubみたいになるまで、あと40年やりますよ」という剣さんのMCの後は、アルバム『GOING TO A GO-GO』の楽曲が次々とステージに乗せられる。軽やかなAORサウンドが心地いい「ZZ」、アシッドジャズ的なグルーヴとラテンのフレーバーが混ざり合う「GARDEN」、ファンクネスを含んだトラックのなかで〈お前のママを愛妻に〉というラインが響く「883」、70年代ソウルミュージックのエッセンスと演歌的な色気が香る「パランタガヤン」。アルバムのリリースにあたって剣さんは「今回のアルバムのテーマ、ま、一言で言うなら『支離滅裂』。これっきゃないっすね。これふざけて言ってるんじゃなくて、僕が最高って思うのって大概がそういうものだし、僕が人間って面白いなあって思うのは、どんなにブレてなさそうな人でも、どっかにひとつやふたつは頓珍漢なところがあると思うし、それは凄くチャーミングなことだと思うんですよ」とコメントしていたが、古今東西の音楽が混ざり合い、“じじい”や“フィリピンパブ”などをテーマにした歌詞の世界が広がるステージは、いわば“多幸感溢れる支離滅裂”状態。マジメもトンチンカンも真剣も悪ふざけも飲み込む懐の深さ、いや、胃袋のデカさこそがCKBの魅力なのだ。

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