レキシは“大衆の求めるポップアーティスト”として定着？　最新作『ムキシ』から考える

　切り口やテーマが多彩なのでレキシはリリース後に毎回この話が盛り上がりますが、新作の白眉はなんでしょうね。人によっては三浦大知が参加する華やかなダンスナンバー「GOEMON feat. ビッグ門左衛門」、あとは上原ひろみが〈鎖国！鎖国！鎖国ぅ〜！〉と情熱的なシャウトを響かせるジャズファンク「SAKOKU feat.オシャレキシ」を挙げるのでしょうけど、私の推しはホーンセクションが映える「奈良に大きな大仏」かな。どうでもいいことのような、でも大事なことのような歌詞がじわじわ染みます。そして笑う。

　応援歌かラブソングばかりだと言われるJポップの世界に、こういう表現者がいること。一風変わったエンタメが思わぬ人気を博しチャートを席巻する存在になったこと。いやぁ、なんとも夢のある話ですね！

■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク／ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA！」などに寄稿。