Mr.Children、フジファブリック、yonige……大きな壁を乗り越え、傑作をモノにしたバンドの新作

 たとえばレーベル移籍、メンバーの脱退、音楽的スタンスの変化。活動を続けていくなかで起きる様々な出来事を経験しながら、バンドは進化を繰り返していく。今回はMr.Children、フジファブリック、yonigeなど大きな壁を乗り越え、傑作をモノにしたバンドの新作を紹介。それぞれのバンドの現在地をしっかりと感じ取ってほしい。

Mr.Children『重力と呼吸』

 前作『REFLECTION』以来、約3年4カ月ぶりとなるMr.Childrenのニューアルバム『重力と呼吸』。「himawari」(シングル/映画『君の膵臓をたべたい』主題歌)、「here comes my love」(配信シングル/フジテレビ系ドラマ『隣の家族は青く見える』主題歌)、「SINGLES」(テレビ朝日系ドラマ『ハゲタカ』主題歌)を含む全10曲を収めた本作には、ここ数年の精力的なライブ活動のなかで獲得した、臨場感に溢れるバンドサウンドが力強く刻み込まれている。もちろん鍵盤やストリングス、ホーンが取り入れられている楽曲もあるし、Mr.Children本来の優れたポップネスも存分に感じられるのだが、根本にあるのはあくまでも4人が奏でる音。まるで目の前で演奏しているような生々しいグルーヴこそが、このアルバムの核なのだ。

Mr.Children「Your Song」MV(Short ver.)

フジファブリック『FAB FIVE』(通常盤)

 来年にメジャーデビュー15周年を控え、精力的な活動を続けているフジファブリック。約1年8カ月ぶりのパッケージリリースとなるミニアルバム『FAB FIVE』は、バンド本来の個性と新たな可能性が同時に感じられる作品に仕上がっている。オリエンタルな音像が広がるアッパーチューン「電光石火」、オルタナティブロック、サーフロック、ニューウェーブが混ざり合った「1/365」など個性的なアイデアに満ちた楽曲が収められた本作。特に叙情性に溢れた旋律のなかで、会いたくても会えない人に向けられた切実な感情を表現した「かくれんぼ」からは、大きな悲しみを乗り越えて活動を続けてきた3人のリアルな思いが伝わってきて、強く心を揺さぶられてしまった。

フジファブリック「Water Lily Flower」MV

yonige『HOUSE』

 昨年9月にリリースした1stフルアルバム『girls like girls』がオリコンチャートのトップ10にランクイン。アルバムを引っ提げた全国ツアーは全公演でソールドアウトとなるなど、メジャー進出以降、凄まじい勢いで突き進んできたyonige。夏フェス会場限定シングル「リボルバー」、「笑おう album ver.」を含む約1年ぶりの新作『HOUSE』は、どこか憂いを帯びたメロディライン、あえて声を張らず、自然な響きを重視したボーカル、そして、日常の何でもない場面を映し出すリリックを含めて、これまでのイメージを良い意味で覆す作品。エッジの効いたラブソングだけではなく、より豊かな音楽に向かっていく起点となる、じつは大きな意味を持った新作だと思う。

yonige「リボルバー」MV

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