少女時代、少女時代-OH!GGとしてカムバック “無垢な少女”から“大人の女性”への成長

 ファンドム人気が主な男子グループは、韓国でのアイドルファンドムの年齢層の拡大とともに兵役という障壁を超えてグループの寿命が年々長くなってきているが、ファンドムだけではなく一般層からの人気を負う部分も大きい傾向にある女子グループの場合、大衆的な人気グループが生まれやすい反面、時の流れや世間の流行と共に生まれては消えて行く速度が特に早い。そのような激流の中で少女時代はデビューから11年を迎え、現在彼女達の歴史に並ぶグループはいない最長寿ガールズグループとなった。その間にメンバーの脱退や事務所移籍など大きな変動もあったが、だからこそ、現事務所に残った5人が少女時代としてではなくOh!GGという新しいユニットという形で楽曲をリリースしたことには大きな意味があるように思える。これはつまり「5人では少女時代ではない」ということであり、それぞれメンバー個人の所属事務所が変わっても、グループとしての少女時代はあり続けるという意志表示のようなものではないだろうか。まさに彼女達のスローガン「今は少女時代、これからも少女時代、永遠に少女時代」ということだろう。

 「Into the New World」はリリースから9年経った2016年に梨花女子大学校での抗議デモでプロテストソングとして歌われて以来、現在ではLGBTパレードなど様々な現場で若者達の抵抗の象徴の様に歌われることが多くなった。壁にぶつかりながらも不確かだけど新しい世界を目指して進んでいこうという歌詞は、新しい時代への希望と連帯の象徴のようにも思える。リリース当時は少女的なイメージコンセプトやセンセーショナルな振付が主に注目されていたが、10年の月日と共に曲が持つ真の意味に光が当たったことは、ある種の必然だったのかもしれない。

〈多くを知ることのできない道の中で/微かな光を私は追いかける/いつまででも一緒に行くの/また巡り会った私の世界〉

 少女時代が始まった地点でもあるこの曲のように、先の見えない芸能の世界を特別な奇跡を待たずに自分たちで力強く歩んで行こうとする姿が見られたこともまた、感慨深い新曲でもあったのではないだろうか。

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
ブログ:「サンダーエイジ」
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