野宮真貴×小西康陽「東京は夜の七時」が色褪せない理由 25年歌い継がれる様々なバージョンを解説
カバー(コンピレーション系)
コンピレーションや企画系アルバムの類いはこちらにまとめた。
『LOVERS COVERS J-POP』
2007年リリースの『LOVERS COVERS J-POP』は、J-POPのヒット曲をレゲエ/ラヴァーズ風アレンジでカバーしたオムニバス盤。「東京は夜の七時」はCrypto RoomというユニットがRay of Lightという女性ボーカルをフィーチャーしてカバー。
同アルバムには続編が2作あり、2009年にはそれら3枚のアルバムから選曲したものをDJミックスした『LOVERS COVERS QUICK-MIX』が作られ、そこにも上記カバー曲が使用されている。また、2013年リリースの『セツ泣きBEST COVERS』にも同一曲が転載されている。
『渋谷系BOSSA』
渋谷系楽曲をボサノバアレンジでカバーした企画盤。収録全曲を手がけているのはSweet Jam Styleなるユニット。歌手は曲ごとに異なっているが、「東京は夜の七時」はazuという女性ボーカルが担当。Sweet Jam Styleは他に『ジブリBOSSA』もリリースしている。
『渋谷エレクトロポップ』
渋谷系楽曲をCAPRICIEUX(カプリシュー)というユニットがカバーした企画盤。帯の解説文には〈90年代の楽曲を「Perfume」を思わせる最新のエレクトロサウンドにアレンジしウィスパーなヴォーカルが花を添える〉と書いてある。全曲の歌唱はincoolという女性ボーカルで、編曲はTakao Fukushima。
収録曲を眺めると、Cymbals「Rally」やTOKYO No.1 SOUL SET「黄昏'95 ~太陽の季節~」はともかく、フィッシュマンズ「いかれたBABY」は渋谷系という定義からは少し浮いてるかも。
『渋谷系 feat. 初音ミク』
ボーカロイドの初音ミクを使用した企画カバーアルバムは一時期たくさん出ていたが、そんな中の一作。「東京は夜の七時」は、「ABC Project feat. daniwellP & 初音ミク」という名義がエレクトロスウィング風にカバー。
『カフェ・ミュージックで聴くJ-POP Best』
J-POPのヒット曲の数々をジャズやボサノバアレンジでカバーした企画盤。編曲を手がけているのは西村幸輔で、全曲インストでのカバー。いかにもカフェで流れていそうなイージーリスニングサウンドだ。
サンプリング
カバーとは異なる、サンプリングされたケースがある。
コーネリアス
ピチカートらと共に渋谷系ムーブメントを形成した、コーネリアスこと小山田圭吾。その2ndアルバム『69/96』の96曲目に収録されているのが、通称「木魚」(または「Welcome to the Jungle」)と呼ばれている隠しトラック。暴力温泉芸者こと中原昌也による短い曲で、イエス「Owner of a Lonely Heart」のギターリフ弾きに様々なJ-POPヒット曲のサンプリング断片が被さってくるという内容。その中の一個に「東京は夜の七時」が含まれている。
エイジア エンジニア
前述の野本かりあが、「東京は夜の七時」に引き続き小西康陽プロデュースでリリースしたシングル「自由度。」では、日本人ヒップホップグループのエイジア エンジニアとコラボした。
その縁もあってか、同年のエイジア エンジニアのシングル『自由に歩いて愛して』のカップリング曲「TOKYO 7」では、ピチカート版「東京は夜の七時」をサンプリング。サンバホイッスルが鳴り響くトライバルハウスチューンに仕上げている。後日リリースのミニアルバム『純夏 ~Jun-natsu~』には「TOKYO 7 "LOS KALIBRES レゲトンリミックス"」として収録。