Ms.OOJA、往年の名曲に与えた新しい価値 演歌の魅力を再発見した特別な一夜

Ms.OOJA、名曲に与える新しい価値

 「演歌とはこんなにもかっこいいジャンルだったのか」と再認識したのは、2月16日に東京・BLUE NOTE PLACEで行われたMs.OOJAの『初の演歌カバーリリース前全曲お披露目Live』。同公演は4月22日にリリースする『Ms.ENKA~OOJAの演歌~』を全曲お披露目するというものだ。スペシャルな一夜となった、同公演1部の様子をレポートしたい。

美空ひばり、八代亜紀、吉幾三……シルキーボイスで歌い上げる演歌の数々

 バンドメンバーである呉服隆一(Key)、佐々木“コジロー”貴之(Gt)、まきやまはる菜(Ba)、Soki(Dr)、Goh(Mp)の演奏に合わせて、シャンパンゴールドのドレスを纏ったMs.OOJAが登場。「皆さん、こんばんは」と挨拶をすると、「Ms.OOJAのメジャーデビュー記念日、2月16日にBLUE NOTE PLACEにお集まりの皆さま、本当にありがとうございます」とお礼を伝える。また、初の演歌カバーアルバムのタイトルを発表すると、客席からは笑いと拍手が送られていた。「これから『Ms.ENKA』の世界を皆さんに楽しんでいただきます。まず年代だけ言って曲を始めますので、どんな曲を披露するのか、どんなアレンジになっているのか、楽しんでいただきたいと思います」と早速ライブをスタートさせる。

 1曲は1986年の楽曲、美空ひばりの「愛燦燦」だ。〈雨 潸々と〉と歌い出すと、Ms.OOJAの後ろにある窓の外には、傘を差している人がポツポツと見える。天候さえも、このライブの演出になっているようだ。そんな風景を背負いながら、Ms.OOJAは包み込むような優しい歌声で同曲を歌い上げると、会場を見渡して「名曲ですね」と微笑む。「続いては1980年のこの曲です」と語り、八代亜紀の「雨の慕情」へ。同曲の違った一面を引き出すようなグルーヴィーなアレンジが印象的だ。そしてMs.OOJAは感情を歌に乗せすぎることなく、楽曲の魅力をストレートに表現しているように見えた。さらに有名曲が続く。「1987年リリースのこの曲です」と曲振りをすると、壮大さを感じるイントロがスタート。島倉千代子の「人生いろいろ」だ。Ms.OOJAによって現代のサウンド感にアップデートされている同曲は観客たちを虜にしていたはずだ。

 歌い終わると、「皆さん、楽しんでますか?」とにっこり。「演歌にはお酒が合いますので、お酒とともに楽しんでくださいね」と語って、次の曲へ。Ms.OOJAと同い年、1982年リリースの森進一「冬のリヴィエラ」が静かに始まる。Ms.OOJAの歌声は実に鮮やかで、音が止んだ後も会場には感情が漂い続ける。続いてもMs.OOJAと同い年の楽曲、日野美歌の「氷雨」。いつもの迫力はそのままに、艶っぽさも感じる歌声が同曲によく合う。低音も心地よく響いていった。

 ちょうど折り返し地点となる6曲目は、比較的新しい1993年リリースの香西かおり「無言坂」。一音一音丁寧に歌っていく、Ms.OOJA。演歌的な節回しを削ぎ落として彼女自身の表現方法で紡ぐことで、楽曲はポップスとしての輪郭を見せていたように感じる。まさに、演歌の新しい魅力が垣間見えた瞬間であった。そして再びMs.OOJAと同い年の楽曲、梅沢富美男の「夢芝居」へ。演歌的なメロディと現代的なアレンジ。それを結びつけるMs.OOJAの歌声。他では成立し得ない絶妙なバランスが同曲を彩っていた。ちなみに同曲は、『流しのOOJA 3~VINTAGE SONG COVERS~』の時に多くのリクエストがあったそう。会場の中にもリクエストをした方がおり、Ms.OOJAは「やっと入ったよ!」と語りかけていた。「さぁ、続きまして8曲目でございます。1986年。これはイントロ聞いたらすぐわかるかな」という言葉で始まったのは、吉幾三の「雪國」。多くの人が一度は耳にしたことがある楽曲だが、Ms.OOJAの解釈を通すことで新たな情景が目に浮かんでくる。そして、澄み渡る声の響きが空間を満たし、観客は静かに楽曲の世界へと引き込まれていった。

 「次の曲はこのアルバムの中でもポイントになるような、スパイスになるような楽曲です」と始まったのは、1995年リリースの桂銀淑「べサメ・ムーチョ」。ステージが赤い照明に包まれると、空気は一変。情熱的な楽曲に観客たちも体を揺らしながら楽しんでいた。「『すずめの涙』とすごく迷ったんですけど、スパイシーにしたいなと思って」と同曲の選曲理由を語って、次の曲へ。1975年リリースの都はるみ「北の宿から」だ。Ms.OOJAの包容力のある落ち着いた歌声によって、原曲とは別の物語が見えてくるかのようであった。

 早くも残すところ、あと1曲。「『流しのOOJA』をやっていく中で、もっと日本語を歌いたい、日本語のメロディを歌いたいと思って、演歌カバーというチャレンジをしました。素晴らしいプロデュースのおかげで素敵なアレンジになって、バンドメンバー、そしておじゃファミのみんなとメジャーデビュー記念日をお祝いできるのがすごく嬉しいです。ありがとうございます」と語り、ラストナンバーへ。「この曲を知った時に、絶対アルバムを作りたいと思わせてくれた曲です」と紹介して始まったのは、1988年リリースのちあきなおみ「冬隣」。重厚なバンドサウンドに支えられながらも、最後に残るのはMs.OOJAの声の余韻。その余情が、ライブ全体を静かに包み込んでいた。

 すべてお披露目し終えると、大きな拍手と「エンターテインメントだね!」という声が客席から上がっていたが、まさにその通り。ジャンルを越え、楽曲の魅力を再提示するMs.OOJAの表現力がしっかり感じられた同ライブ。その証拠に、Ms.OOJAが投げキッスをしながらステージを去った後も、会場には温かな余韻が残り続けていた。

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