乃木坂46×欅坂46×けやき坂46の新たな方向性を示す? 『ザンビプロジェクト』舞台への期待
同氏は、舞台と坂道シリーズの関係性について続ける。
「乃木坂46と欅坂46は、一見するとやっていることのモチーフが大きく違うように見えます。ただし、欅坂46の作品やパフォーマンスは乃木坂46が演劇的な表現を模索してきた先に生まれたものです。そのため、表現の根本には共通性や不可分の繋がりがあります。乃木坂46はこれまでの活動を通して、明確に舞台演劇に傾斜してきました。『すべての犬は天国へ行く』や『墓場、女子高生』など、既存の演劇の名作を乃木坂46バージョンとして上演する試みの蓄積は、グループの代表的な側面のひとつです。一方の欅坂46、特に漢字欅はそうした演劇性を楽曲のパフォーマンスの上で昇華させてきたグループです。デビューシングル「サイレントマジョリティー」からすでに、群像としての表現を高水準で示してきましたが、これは乃木坂46の蓄積があったゆえに可能になったことでしょう。また、欅坂46の振付担当として重要な役割を担うTAKAHIRO氏は、欅坂46デビューの前年に乃木坂46の舞台『すべての犬は天国へ行く』のダンスパートを手掛けたことでも知られます。乃木坂46と欅坂46は演劇性という観点において繋がっている2グループだと言えますね」
今回の第一弾選抜メンバーについては、「近い将来、グループの顔となる存在が選ばれている」と指摘する。
「現時点で発表されているメンバーからは、現在から近い将来にかけて各グループを牽引することを期待されるメンバーが選ばれている印象を受けました。乃木坂46からは3期生が選ばれていますが、乃木坂46の中ですでに舞台経験を積んでいる山下美月さんや与田祐希さんは、どちらも楽曲によってはセンターを担当するメンバーです。欅坂46からは最新シングル『アンビバレント』収録曲「302号室」でユニット“線香姉妹”を組んでいる小林由依さんと土生瑞穂さんが選ばれており、今回の舞台はもちろんですが、欅坂46の7thシングル以降でも活躍が期待されるメンバーが選出されています。けやき坂46は齊藤京子さんと小坂菜緒さん、1期生と2期生からそれぞれソロとしても活躍するメンバーが選出されています。ここまでの発表メンバーを見る限りは、舞台演劇に特化するというよりも、“近い将来の坂道シリーズが描く姿の一端を見せるプロジェクト”の一部という印象です」
最後に、舞台への期待についても聞いてみた。
「乃木坂46と欅坂46は根源的な共通点もありますが同時にカラーの違いもあるため、その両者がうまく距離を測りながら、良い関係を形成できればよいなと思います。このプロジェクトは、現状の坂道シリーズ全体として何が表現できるのか、その可能性を測るものにもなるはずです。いずれにせよ、彼女たちが追求してきた演劇作品に坂道シリーズ全体で挑戦するからには、総合的な完成度の高さがうかがえるものになればよいなと期待しています」
『舞台「ザンビ」(仮)』は、11月16日から東京・水道橋のTOKYO DOME CITY HALLで上演される。『ザンビプロジェクト』は、大きな転換期を迎える坂道シリーズの新たな一手となるのだろうか。
(文=泉夏音)