JUJU、さまざまな“アイ”の歌で最新作『I』の世界を再現 ドラマチックなホールツアーをレポート
「デビューから14年、支えてくれたみなさんへのラブレターを、アルバムに忍ばせました。最後に私からのラブレター、受け取っていただけますか」
スクリーンに歌詞を映しながら、すべての観客に手を振りながら、「I」を歌うJUJUの顔は晴れやかだった。〈いくつも季節をあなたと重ねてゆきたい/あなたと歩いてゆきたい〉。それはファンへの、そして音楽への、JUJUからの愛を込めたメッセージ。最高傑作を引っ提げて臨んだツアーの最終曲にふさわしい、前向きで力強いフィナーレだ。
ここまで、ちょうど2時間。熱烈なアンコールの手拍子に応え、戻ってきたJUJUが「あなたがくれたもの」を歌う。小田和正に贈られたこの曲で、アルバム『I』収録曲はすべて歌われた。続けて、JUJUと三浦春馬がMCをつとめるドキュメンタリー番組『世界はほしいモノにあふれてる』(NHK総合)のオープニング曲としてお馴染みの新曲「Remember (The Good Times)」を、アッパーなジャズフィーリングたっぷりに。12月5日にリリースされる『DELICIOUS』シリーズ三作目への期待が高まる1曲、観客の反応は上々だ。立て続けにJUJUにとって夏の代表曲となった「PLAYBACK」へ、残り少ない時間を惜しむように、JUJUと観客の心が一つになる。
「大人の毎日は、辛いこともあります。哀しみが溢れそうな時は、今日のことをプレイバックしていただけますか」
この日の21曲目、一遍の映画のようなドラマチックな時間の最後を飾ったのは、万感込めたバラード「YOU」だった。〈あなたの未来(あす)が哀しみに溢れそうな時も/微笑みをあげたい〉。感極まったJUJUの目に、光るものが見える。すべての音が消え、メンバーを紹介し、送り出し、一人になり、観客に向けて感謝の拍手を贈る。「素晴らしい時間をありがとうございました」ーーすべての観客が、まったく同じ言葉をJUJUに投げ返したいと思っていたはずだ。
9月9日には大阪城ホール、10月9・10日には日本武道館と、アリーナ追加公演も決まった。そこではきっと、『I』の世界の壮大な完結編が見られるだろう。JUJUの歌う愛の歌が、確かに生きる力になっている。そんな僕と君とあなたのために、JUJUは歌い続ける。
(文=宮本英夫)