JUJUが語る、シンガーとしての歩みと感謝の思い 「東京のおかげで“JUJU”になれた」

JUJUが語る、シンガーとしての歩み

 映画『祈りの幕が下りる時』のために書き下ろした新曲が表題となるシングル『東京』と、2年2カ月ぶり、通算7枚目のオリジナルフルアルバム『I』。「東京」のMVは、動画サイトでの公開から約1週間で100万回再生突破という大反響を呼び、父と娘のせつなくも愛しいストーリーに涙するファンが続出中だ。その「東京」を含むアルバム『I』は、全曲に異なるプロデューサーを迎え、R&B、EDM、歌謡スタイルなど、過去最高のバラエティに富んだ自信作。デビューから15年目、“最初にやりたかったことがようやくできてきた”と語るJUJUの、飾らない本音の言葉に耳を傾けよう。(宮本英夫)

「巡り合わせや人との出会いに、感謝しかありません」

――「東京」は、映画『祈りの幕が下りる時』に書き下ろした新曲ということで。このシリーズには縁があって、主題歌は6年ぶりですか。

JUJU:前回、『麒麟の翼~劇場版・新参者~』(2012年公開)に続いて二度目でしたので。ご指名いただいて、非常に光栄でした。何曲かデモを作らせていただいて、この中からもし近いのがあれば、と。そしたらこの曲が選ばれて、それから歌詞をつけていただきました。

――渡したデモというのは、基本、バラード系ですか。

JUJU:そうですね。基本バラードで、ちょっとミディアムテンポのものもあったり、けっこうバラエティに富んだ形でお渡しはしたんですけど。でも「たぶんこれだろう」と。

――予感があった。

JUJU:「新参者」シリーズの最終章は絶対これが合うのではないかと思っていたら、あたりでした。映画のエンディングで舞台になる日本橋の風景とかが入ってきた時に、一番合いそうだなと思っていたので。前作の「sign」からの続きみたいな感じもしましたし、「新参者」感が統一されてる気もして。まさかタイトルが「東京」になるとは思わなかったですけど。

――ぴったりじゃないですか。

JUJU:映画自体も、「東京」がキーワードだったりするし、JUJUというものにとっても、「東京」は一つのキーワードだったりするので。ここに来て「東京」という曲を歌うんだなと思ったら、感慨深いものがありましたね。東京出身じゃないからこそ見える「東京」って、あるじゃないですか。

――そうですね。

JUJU:私もまさか、自分の人生で東京にこんなにお世話になる日が来るとは思ってなかったので。でも東京のおかげで、JUJUというものになれたなと。ソニーさんとは、アルバムを7枚出すという契約を2003年に結ばせてもらって、その7枚目のアルバムを出す直前のシングルが『東京』というのも、なんだか縁深いなと思うので。

――ということは、今はJUJUさんにとって節目の時期なんですね。

JUJU:そうですね。JUJUというのは、私がニューヨークにいる時に決めた名前ですが、東京でJUJUというものが一瞬消えそうになって、首の皮一枚でつながったところから、7枚のアルバムを作るところまで来たのは、すごいことだなと。本当にみなさんに育てていただいたなと思って、聴いてくださるファンの方も、応援してくださる方も、本当にありがたいなと思います。しかも『祈りの幕が下りる時』のお話をいただかなかったら、この曲はできていないですし。巡り合わせや人との出会いに、感謝しかありません。

JUJU 『東京』Music Video

――「東京」は、渾身のJUJU節、素晴らしいバラードです。

JUJU:映画もぜひ。映画を見たあとに聴くと、たぶん曲の聴こえ方も変わってくると思います。あと、ミュージックビデオもぜひご覧ください。つらいです。

――つらいですか。

JUJU:だいぶつらい。でも「こういう気持ちを歌った曲です」というビデオです。この間、テレビの収録で初めて「東京」を歌う日に、現場に向かう車の中で、「ビデオできたよ」ってスタッフに見せられて。スマホの小さい画面で見てたんですけど、気づいたら号泣してました。私自身も、身につまされます。親の反対を押し切って、東京に出て来たばかりの子が見て、「親を大事にしよう」と感じてくれたらいいなと思いますね。

――そうなんですね。ラブストーリーではなく。

JUJU:恋愛的なラブストーリーではないですね。『祈りの幕が下りる時』も、親子の関係性の絡まり合いとすれ違いが、阿部寛さんと松嶋菜々子さんにどう関係してくるか、みたいな話だったりするので。映画も非常にせつないですし、「東京」も、もちろん恋愛としてとらえていただいて全然いいんですけど、どちらかというと、離れてしまった親や家族に向けての気持ちです。

――スキマスイッチのカバー「藍」はこのシングルだけで聴ける曲ですね。このカバー、すごくいいです。

JUJU:去年の“スナックJUJU”ツアーの仙台公演のあとに、東京から来たお友達とカラオケに行ったんですね。そこにお友達のお友達が来ていて、1曲目に歌ったのがこの曲だった。私、スキマスイッチの曲はほとんど聴いているけれど、この曲はアルバム曲らしくて、知らない曲だったんですね。で、普通にぼーっと聴いて、聴き終わった時に号泣していたという。

――また号泣しちゃった。

JUJU:はい(笑)。ノーガードで聴いたせいもあって。あまりにもいい曲で、あまりにもせつないじゃないですか。もうその人のことが好きなのがしんどいから、存在自体いなくなってしまえ! と思うけど、“来週はいつ会えるんだろう”っていう気持ち。大橋(卓弥)くん、いい曲書くなぁと思って。

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