HMV presents BULLET TRAIN 6th Anniversary Special『“超”超フェス』
超特急は“最高を更新”し続けるーーホスト務めた『“超”超フェス』2日間をレポート
翌9日もオープニングに超特急が登場し、この日はテクノやヒップホップなどくるくると展開するエキセントリックなサウンドで魅せる「Jesus」で幕開け。2日目のオープニングでは、それぞれが好きな屋台を語り合ったりとややリラックスモードだった6人。「今日を人生で一番の祭りにしようぜ!」(リョウガ)とテンション高めに1組目の“超GUEST” FLYING KIDSへとつなぐ。
今年で結成30周年を迎えるFLYING KIDSは、ド頭からファンキーなグルーブサウンドで8号車を圧倒。サックスなども含む厚みのあるプレイを聴いていて、生バンドを従えた一昨年の超特急のツアー『LIVE TOUR 2016 Synchronism 〜Body & Groovin'〜』の空気感を思い出した8号車もいたかもしれない。フェスの法被を羽織ったフロントマンの浜崎貴司の「どうですかこの法被。テキ屋のお兄さんみたいでしょ?」のコメントには客席も爆笑。
曲がダンサブルな「ファンキースター」に移ると、超特急が参戦。各ダンサーが普段のパフォーマンスではなかなか見せることのないディスコ風のソロダンスで魅了した。ボーカルのタカシが参加すると、「僕もタカシくんなんだよ(笑)」(浜崎)とステージ上で自己紹介が始まり、“Wタカシ”に8号車が白のペンライトを振って盛り上がる図もこの日ならでは。「幸せであるように」「風の吹きぬける場所へ」などの代表曲を含め、爽やかかつ大人なサウンドに8号車も聴き入っていた。
超特急とは共演経験はないものの、8号車たちとの親和性の高さを見せ付けたのがDJ和だ。ステージで一番高いやぐらの上のDJブースからT.M.Revolutionの「HOT LIMIT」などの定番夏ソングや、事務所の先輩であるももいろクローバーの「行くぜっ!怪盗少女」など、幅広い世代に知られるキラーチューンを連投。さらに「夏色えがおで1, 2, Jump!」(μ’s)では、ヲタ特急(2013年の『BULLET TRAIN FAN MEETING Vol.06 ~【冬】僕らの全国制覇は、ここから始まる。1/47【TOKYO】なにげにクリスマスイブだよ!?追加公演~』などに登場したヲタク風キャラクター)姿のリョウガが登場。
客席からやはりヲタ特急仕様のユーキが「帰り道」(八九寺真宵)で登場するくだりではリョウガが「帰り道」と書かれた本を持つなど仕込みもバッチリで、名曲「千本桜」(黒うさP feat. 初音ミク)では、2人が特大サイズのサイリウムでシンクロ感あふれるヲタ芸を打ち、8号車たちをハチャメチャに盛り上げていた。DJ 和自身もマイクで客席に語りかけつつ、「U.S.A.」(DA PUMP)ではシュートダンスを踊るなど、全力投球のプレイスタイルで5000人を踊らせていた。
ラストの“超GUEST”となったベリーグッドマンは、先日北海道で行われたフェス『TOKACHI presents SUNNY TRAIN REVUE 2018』で超特急と初共演したばかり。ハイトーンのHiDEXら、声質のまったく違うメンバーが歌&ラップをしっかり聴かせつつ、曲間のトークやコール&レスポンスでは芸人ばりのテクニックで盛り上げるボーカルグループだ。額に“超”の字を描いて登場したMOCAは、「超フェスやっぱりNo.1!」などのワードを盛り込みながら、8号車たちとのコール&レスポンスをリードしていく。
超特急は4曲目の「Vives UP!!」でタオルを振り回しながらコーラスでも参加。途中タクヤとユーキがブレイキンをキメるなどアドリブ風の要素も多く、曲中でユースケとMOCAがハイタッチをしたりと両者がともにコラボを楽しんでいたようだ。6人が去ったあとも人気曲「ライオン」などではしっかり聴かせ、“即興ソングコーナー”ではRoverがフリースタイルで<“超”超フェスめっちゃサイコー!>と盛り上げ、それに対して8号車がペンライトを振り回すという、あうんの呼吸が成り立っていた。
コール&レスポンスの応酬が終わったあとは“超HOST”超特急の出番だ。「踊れ!歌え!今を楽しめーーー!!!」とユースケが叫び、フェスなどでの定番曲「バッタマン」へと突入。過去の『a-nation』など大型フェスでも度々パフォーマンスしてきた同曲だが、今回はホームということもあるのか、センターを担うユースケの表情にも確信犯的な強さが感じられた。
この日の“超GUEST”たちのステージを振り返るMCでは、DJ 和のタイミングに登場したリョウガ&ユーキの話題に。勢いあまってサイリウムを遠くへ飛ばしていたユーキは「(頑張りすぎて)今日一番命削った」と告白。そして全員が口々に、ベリーグッドマンの流暢なステージングを「あれはパクりたい!」と羨望のまなざしを向けるひと幕も。
爽やかなサウンドと6人でハートを作る組技がキュートな「up to you」などシングル収録曲に続けて、「fanfare」へ。8号車も一体となってシンガロングする部分では、タカシが「今日はもっとみんなの声を聴きたいんです! まだまだ足りないよ!?」と8号車を強めに煽りまくっていたのも印象的だった。本編ラストでは「最高を更新して始まり、最高を更新して終わる。つまりこの『“超”超フェス』が“神イベント”になるということです!」(ユーキ)と宣言し、前日の冒頭で披露した「SAIKOU KOUSHIN」の熱いパフォーマンスで締めくくった。
アンコールでは「最後は一緒に騒いじゃおう!」(ユースケ)と、前日と同じく「SAY NO」「Burn!」という盛り上げ曲を連打。ラストの「浮つきWAVES」では“超GUEST”全員をステージに迎えつつ、ユーキ&DJ 和がそろってやぐらの上で踊るなど、初日よりもさらにヒートアップした形でエンディングを迎えた。
共演経験のほとんどないゲストが大半だった2日間だが、この芸能界の百戦錬磨な先輩たちの芸を振りやMCにさっそく取り入れるなど、強心臓ぶりを見せていた超特急。以前のインタビューで超特急のレパートリーはフェスなどのステージを想定して制作されていると明かしたことがあったが、何よりもライブパフォーマンスに重きを置くグループとして第1弾、第2弾で学んだことは多かったに違いない。そしてMC中には「来年も超フェスを…9割やります(笑)。来年はおっきなお祭りしたいね!」(カイ)という予告めいたコメントも。次回の『“超”“超”超フェス(?)』は間違いなく第1弾、第2弾の“最高をも更新”するクオリティのものが期待できそうなので、早くも待ち遠しい気分だ。
(写真=米山三郎、深野輝美、冨田望)
■古知屋ジュン
沖縄県出身。歌って踊るアーティストをリスペクトするライター/編集者。『ヘドバン』編集を経て、『月刊ローチケHMV』『エキサイトBit』などで音楽/舞台/アートなど幅広い分野について執筆中。