Dirty Projectors、Amen Dunes……村尾泰郎が選ぶ、メロウな歌心を持ったオルタナ作品5選

石橋英子『The Dream My Bones Dream』

 最後は日本。前野健太、ジム・オルーク、星野源など、様々なミュージシャンと共演してきたマルチプレイヤー/シンガーソングライターの石橋英子の4年振りの新作『The Dream My Bones Dream』が完成した。今回は家族写真を手掛かりにして、家族の歴史を掘り返すことが曲作りのきっかけになったとか。ゲストには、ジム・オルーク、須藤俊明、山本達久といった仲間達に加え、ノルウェーのトランペット奏者、アイヴィン・ロンニング。オーストラリアのドラマー、ジョー・ダリアなどが参加。ストリングス、ペダルスティール、トランペット、アナログシンセなど、様々な楽器を使用して重層的に作り上げられたサウンドは、音のスクリーンとなって様々な物語を浮かび上がらせていく。そして、歌声は物語のナレーターというより、物語を取り巻く気配のように妖しく官能的。エピローグから始まってプロローグで終わる本作は、まるで一本の映画を観るように異世界へと誘ってくれるはずだ。

[石橋英子 / Eiko Ishibashi "Agloe" (Official Audio)

■村尾泰郎
ロック/映画ライター。『ミュージック・マガジン』『CDジャーナル』『CULÉL』『OCEANS』などで音楽や映画について執筆中。『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』『はじまりのうた』『アメリカン・ハッスル』など映画パンフレットにも寄稿。監修を手掛けた書籍に『USオルタナティヴ・ロック 1978-1999』(シンコーミュージック)などがある。

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