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ゆるふわギャング、88rising、YonYon & SIRUP…日本とアジアのラップミュージック新展開

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 今回のキュレーションのテーマは、日本とアジアのラップミュージックの新展開について。つい最近まで「グローバル化する各国のシーンと対照的にガラパゴス化した日本」みたいなトーンのことをいろんなところで書いたり喋ったりしてきたんだけれど、ストリーミングサービスに日々公開される新曲を聴いていると、状況はどんどん塗り替わってると実感する。当たり前に国境を超えた動きが顕在化しているし、新しい感覚を持った世代が頭角を現してきている。とても面白い。

ゆるふわギャング『Mars Ice House II』

ゆるふわギャング『Mars Ice House II』

 ここ最近の新譜の中でもダントツに素晴らしいのが、ゆるふわギャングの『Mars Ice House II』。昨年にリリースした1stアルバム『Mars Ice House』で脚光を浴びた、ラッパーのRyugo IshidaとNENE、プロデューサーのAutomaticによるプロジェクトの2ndアルバムだ。新作を聴いてまず感じたのはサウンド・プロダクションの大幅な刷新。アルバムはカナダのライアン・ヘムズワースがプロデューサーとして参加し、LAでレコーディングされたという。

ゆるふわギャング (Yurufuwa Gang) “Palm Tree”

 リリックもいい。「Palm Tree」の〈ここはどことか わたし誰とか やめてくんない ザコはgood night〉のフレーズが、強く耳に残る。BPM75のスローなテンポ、浮遊感あるシンセ、三連符のフロウは、トラップ以降のフィールに則ったもの。その上で「か行」と「た行」の固い子音を巧みに使って発語でリズムを作っている。オートチューンを使って全編デジタルなハーモニーを響かせている。

 アルバムラストの「We’re not gonna die young」も感動的。4月にはSUPERCARのベスト盤にあわせて「YUMEGIWA LAST BOY」と「Strobolights」をサンプリングし再構築した7inchシングル『Contains Samples from SUPERCAR』をリリースしていた彼ら。この「We’re not gonna die young」のアトモスフェリックでホーリーな曲調を聴くと、ひょっとしてから2005年にSUPERCARが解散して失われた何らかのミッシングリンクが彼らにつながったんじゃないか? なんてことも思ってしまう。

88rising「Midsummer Madness ft. Joji, Rich Brian, Higher Brothers, AUGUST 08」

88rising「Midsummer Madness ft. Joji, Rich Brian, Higher Brothers, AUGUST 08」

 「アジアのラップミュージック」という話をするときには外せないプラットフォームの88risingは、季節にあわせてサマーアンセムをドロップ。インドネシアから世界を席巻しているRich Brian、中国発のラップグループHigher Brothers、大阪出身でNYを拠点に活動する異能のシンガーJoji、そして新人AUGUST 08をフィーチャーした曲だ。

88RISING – Midsummer Madness ft. Joji, Rich Brian, Higher Brothers, AUGUST 08 (Official Music Video)

 昨年のカルヴィン・ハリス『Funk Wav Bounces Vol.1』からサプライズリリースされたばかりのジャスティン・ティンバーレイクの新曲「SoulMate」に至るまで、「メロウでレイドバックした夏へのアディクション」はここ最近のポップミュージックの王道のテーマであり続けている。この曲も、わざとレトロ調に加工した映像のテイストも含め、そういう潮流にきっちりとアプローチした曲。

 ちなみに、ミュージックビデオを見るとHigher Brothers のぽっちゃりDZknow (丁震)の存在感がすごい。ドヤ顔がどことなく岡崎体育に似てると思うのは僕だけだろうか。

YonYon & SIRUP『Mirror(選択)』

YonYon & SIRUP『Mirror(選択)』

 日本と韓国のクラブシーンをつなぐ新たな世代の橋渡し役となっているYon Yonのプロジェクト「The Link」の第2弾楽曲。YonYonと、大阪出身のシンガーソングライターKYOtaroによるプロジェクトSIRUP、そして韓国の新鋭プロデューサー2xxx!によるコラボ曲になっている。フューチャーベース以降のスムースなサウンド、3カ国語が当たり前に飛び交うリリックが心地いい。プロジェクト自体の成り立ちもそうだけれど、曲自体にすごく風通しのよさがあるのがポイントだと思う。

YonYon, SIRUP – Mirror (選択) MV

 ソウル生まれ東京育ちで、シンガーソングライターやDJとしても活動しながらイベントプロモーターとしてアーティストのブッキングやイベントの企画制作なども手がけるYonYon。日韓の注目すべきプロデューサーとシンガーをつなぐ「The Link」プロジェクトは彼女の熱意と人脈ならではのもの。昨年秋の第1弾楽曲「Period(過程)」はシンガーソングライターの向井太一と、Jay Park やZion.Tを手掛けた新鋭プロデューサーSlomを起用した一曲。こちらもとても洗練されたナンバーだった。

YonYon, Taichi Mukai – Period MV

 このプロジェクトから次世代のいろんなキーパーソンが世に出ていく予感がする。

      

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