Mr.Children「HANABI」と『コード・ブルー』、10年経った今もなお放ち続ける“希望の光”

 ファンの間でも人気が高く、多くの公演で披露されてきた「HANABI」は、10年経った今もなお、ライブでは桜井のセンチメンタルなアコースティックギターのイントロを合図に大きな歓声が上がる。これまでの10年間(2008年~2018年)のミスチルのキャリアの中でもやはり「HANABI」は、「innocent world」「Tomorrow never knows」などと肩を並べる、万人がイントロを聞いて反応することができる楽曲なのだ。

 ミスチルは、イントロを重視しているバンドだ。2005年にリリースされたアルバム『I ♥ U』の1曲目を飾る「Worlds end」は、作品全体を勢い良くスタートさせることを意識し、桜井の力強くかき鳴らすギターリフから始まる。ベストアルバム『Mr.Children 2001-2005 <micro>』『Mr.Children 2005-2010 <macro>』リリース後に開催された『MR.CHILDREN TOUR POPSAURUS 2012』においては、桜井が“イントロを聴いた瞬間に盛り上がれる曲”とセットリストを予告していた。

 『HANABI』のシングルジャケットは「氷の中の花火」をテーマにデザインされており、“花火”を「HANABI」と表記することによって、どこか物哀しさを感じさせる。サビの〈決して捕まえることの出来ない/花火のような光だとしたって〉という歌詞は、手の届かない存在を描きながら、曲全体として自身の夢や希望とも捉えることができる、単なる恋愛ソングに終わらない桜井のソングライティング力も光っている。リアルな医師たちの葛藤や成長を描いた『コード・ブルー』のテーマ性ともマッチした楽曲であり、新垣の「寄り添ってくれている」というコメントにも納得だ。7月27日付けのiTunesトップソングで「HANABI」は16位まで上昇してきており、劇場公開にあわせてさらなるランクアップも期待される。10年前の夏に歩みを始めた『コード・ブルー』と「HANABI」は、今もなおそれぞれのシーンの最前線で、希望の光を放ち続けている。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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