Mr.Children、全シングル&アルバム配信解禁の意義 柴那典がリスナーへの影響含め考察

 Mr.Childrenがデビュー記念日の5月10日から、iTunes Store、レコチョクなどの主要ダウンロードサービスおよび、Apple Music、Spotify、LINE MUSIC、dヒッツほか各ストリーミングサービスで全楽曲の配信をスタートした。DREAMS COME TRUEや宇多田ヒカルといったアーティストに続く大物アーティストの楽曲解禁とあり、大きな盛り上がりを見せている。そこで今回のMr.Childrenの動きについて、『ヒットの崩壊』の著者でもある音楽ジャーナリストの柴那典に聞いた。

Mr.Children『himawari』(通常盤)

 柴氏はMr.Childrenを「国民的な存在でありつつ、どうやって音楽を届けるかについて自らしっかり考えてきたバンド」と位置づけ、以下のように語る。

「もともとMr.Childrenは配信に対して積極的ではありませんでしたが、それは単に権利的な事情というよりも“簡単に手に入るものは簡単に手放される”といった桜井和寿さんの考え方によるところもあったのではないでしょうか。とはいえ、2017年のデビュー記念日には配信限定のベストアルバム(『Mr.Children 1992-2002 Thanksgiving 25』『Mr.Children 2003-2015 Thanksgiving 25』)をリリースするなど、時代の変化に対してMr.Childrenなりの向き合い方をしてきたように思います。海外ではほとんどのアーティストが配信に対応していて、音楽業界全体としてもストリーミングによる収入が一つの軸になり始めている状況も含め、桜井さんの考えも変化してきたのだと思います」

 続いて柴氏は日本が海外に比べてストリーミングの普及率が低い理由の一つとして、大物アーティストの楽曲でも聴けないものが多いことを挙げた。

「Mr.Childrenが今回解禁したことで、宇多田ヒカルやドリカムに続いてひとつの大きな山が動いたという印象をリスナーや他のアーティスト、音楽関係者に与えたのでは。よく日本人はコレクター魂や所有欲が強いから、日本ではパッケージが強くストリーミングが普及しないと言われますが、ストリーミングの普及とパッケージがなくなることは別の話。ストリーミングが広い層に音楽を届けるための手段として活用される一方で、ファンの所有欲はMr.Childrenが発売した『REFLECTION』{Naked}盤(23曲入りのUSBアルバム)のような豪華盤のパッケージで満たされる。今後も彼らのような大物アーティストが豪華盤を出す傾向は続くでしょう」

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