森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.100
三浦大知、フォーリミ、ミセス、CHAI、あいみょん……“大躍進”遂げた5組をピックアップ
CHAI
“NEOかわいい”“コンプレックスはアート”といったメッセージを掲げ、性別や年齢による区別、“○○だったらこうすべき”という凝り固まった常識を気持ち良く打ち破り、賛否両論を巻き起こしながら予想を遙かに超えるスピードで世間に浸透したCHAI。彼女たちの存在は音楽シーンに新しい価値観を与えると同時にリスナーのなかに“自分の感覚を信じよう”という強さを生み出し続けている。ジェンダーの問題、さまざまなハラスメントが起きている現代の日本において、自己肯定感に溢れたCHAIの音楽はきわめて重要だと思う。ニューウェーブ、オルタナR&B、エレクトロなどを自由に融合させながら、オリジナリティあふれる楽曲につなげる技術の高さも彼女たちの大きな武器だ。
あいみょん
あいみょんもまた、新たな価値観を込めた楽曲によって支持を拡大しているアーティストだろう。彼女の存在を広く世に知らしめたのが「君はロックを聴かない」。“君はロックなんて聴かない”というひとつのワードで楽曲のなかに登場する“僕”と“君”の距離感をリアルに描き出すソングライティングセンスは、現在のシーンのなかでも明らかに際立っている。また「愛を伝えたいだとか」に象徴される“天然のソウル感”と呼ぶべきボーカルも彼女の特徴。思わず身体を揺らしたくなるようなグルーヴ、そして、誰もが自分自身の経験に当てはめたくなる歌詞を併せ持った彼女は、10年代後半におけるもっとも重要なシンガーソングライターのひとりだと思う。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。