Amorphis、Ihsahn、At The Gates……北欧エクストリームシーンを支える重鎮たち

スウェーデン

 フィンランド、ノルウェーに続いて紹介するのは、スウェーデンのバンドです。スウェーデンというと真っ先に思い出すのが、大ヒット曲「The Final Countdown」でおなじみのEuropeや、メロディックデスメタルシーンの人気バンドArch EnemyやIn Flamesあたりでしょうか。

At The Gates『To Drink From The Night Itself』

 そんなArch EnemyやIn Flamesと同じく、スウェーデンを代表する伝説的メロディックデスメタルバンドとして知られるのがAt The Gates。彼らは1990年に結成するも、4枚のアルバムを残して1996年に解散。ラスト作となった『Slaughter Of The Soul』(1995年)は現在まで、メロディックデスメタルシーンを代表する傑作として広く知られています。そんな彼らが2007年に期間限定で復活。2008年に再解散するものの、2010年には本格的な再結成を果たし、2014年に19年ぶりの新作『At War With Reality』をリリースしてHR/HMファンを喜ばせました。今回発表された最新作『To Drink From The Night Itself』はこれに続く6thアルバムで、復帰作となった前作を軽く凌駕するブルータルさでリスナーを楽しませてくれます。At The Gatesというバンドがどういうスタイルを持つ、どんな存在なのかをこのアルバム1枚で完全証明するような、今が第二の黄金期であることを示す傑作ではないでしょうか。

AT THE GATES - To Drink From The Night Itself (OFFICIAL VIDEO)
The Crown『Cobra Speed Venom』

 最後に紹介するのは、先のAt The Gates同様に90年代初頭からスウェーデンのデスメタルシーンを牽引してきた重鎮バンドThe Crown。結成当初はCrown Of Thorns名義で活動しており、1999年に現在のバンド名に変更。一時期は解散や活動停止を余儀なくされたこともありましたが、2008年以降はコンスタントな活動を続けています。通算10作目のスタジオアルバムとなる本作『Cobra Speed Venom』は、彼らが初期から信条とするブルータルなデスラッシュサウンドと、北欧のエクストリームバンドらしいメロディックデスメタルのテイストを融合させた、残虐ながらも聴きやすいという絶妙のバランス感で成り立つ力作に仕上がっています。スウェーデンを代表するプロデューサー、フレドリック・ノルドストロームを迎えていることもあってか、「スウェディッシュ・デスメタルここにあり!」と高らかに宣言するかのごとく、暴力的なまでに自信に満ち溢れた1枚だと断言できます。

The Crown "Cobra Speed Venom" (OFFICIAL VIDEO)

 なお、今回はリリースタイミングの都合で選から漏れましたが、今年2月にはスウェーデンのシンフォニックメタルバンドTherionがCD3枚組におよぶ大作ロックオペラアルバム『Beloved Antichrist』をリリースしています。彼らもスタートはデスメタルでしたが、作品を重ねるごとに現在のようなスタイルに到達。今回紹介した8作品に触れて北欧メタルや北欧のエクストリームシーンに興味を持てたなら、ぜひチェックしてみてください。

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

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