HER NAME IN BLOODが語る、バンドの進化と新たな挑戦「シンプルな楽曲は強い武器になる」

HNIBが語る、バンドの進化

 HER NAME IN BLOODが、ニューアルバム『POWER』を4月4日にリリースした。今作は、作品ごとに変化をみせるバンドの中でも、“パワフル”、“キャッチー、でもハード”というテーマをもとに制作。シンプルながらも大きなスケールを感じるバンドの新しい挑戦が込められている。今回のインタビューでは今作に至るまでの経緯として昨年加入したMAKI(Dr)がもたらした影響、バンドがスタートした2007年からのシーンについて語ってもらいつつ、作品の進化について探っていった。(編集部)

「いい時代にバンドを始められたなと」(MAKOTO)

ーー今回のニューアルバム『POWER』を聴きまくったあとに、久しぶりに1stアルバム『DECADENCE』(2010年発売)を聴き返したんですけど、いろいろとつながっているんだなというのを実感しまして。

MAKOTO:ちゃんと同じバンドでした?

ーーもちろん。その時代時代の色付けのやり方はあると思うんですけど、軸はあの時点からしっかりできていることに改めて気づかされました。

DAIKI:そう言ってもらえて嬉しいです。

ーー今回はリアルサウンド初登場ということもあるので、バンドの原点的なところから振り返れたらと思います。まず、HER NAME IN BLOOD (以下、HNIB)というバンドがスタートしたのが2007年のこと。最初はどういう方向性を目指していたのか、どんなバンドになりたかったのか、そこから聞かせてください。

MAKOTO:もともとはギターのDAIKIと僕が高校生のとき、地元でやっていた前身バンドまでさかのぼるんですけど、その頃は今と音楽性は近かったんですけど、4人編成で日本語詞、シャウトと歌が半々ぐらいでした。そこから、ピンのボーカリストを入れて5人編成でやりたくてIKEPYを迎えて、そのタイミングでバンド名も今のHNIBに変えて。メンバーみんな洋楽っ子だったので、その頃自分たちが聴いていた海外のバンド、その頃でいうとAs I Lay DyingやKillswitch Engageといった“ザ・アメリカ”なバンドに影響を受けて、こういうサウンドを英語詞でやりたい、世界を目指したいと思っていました。

ーーHNIBの強みのひとつに、IKEPYさんのボーカルがあると思います。IKEPYさん自身はどういうシンガーから影響を受けたんですか?

IKEPY:バンドに加入した当初は、今名前が上がったKillswitch EngageやAs I Lay Dying、あとはLamb Of Godみたいに基本シャウト中心のボーカリストをすごく意識していて。でも、最近は普通にクリーントーンで歌うことも増えていて、そこは何が影響になっているのかなと考えると、Panteraのフィル・アンセルモだったり、Nickelbackのチャド・クルーガーだったりするのかなと。あとは、僕はQueen、特にフレディ・マーキュリーが小学校の頃からとにかく好きだったので、そういう普通の洋楽ロックの影響が最近になって出てきたのかなと思ってます。

IKEPY
IKEPY

ーーなるほど。HNIBが活動を始めた2007年頃というと、現在ラウドロックと呼ばれるジャンルのバンドたちが本格的に活動し始めたタイミングかと思います。皆さんもそういったバンドたちと共闘し、活動を続けてきたわけですよね。

MAKOTO:そうですね。一番身近でシーンや時代の変化を一緒に見てきたのはCrystal Lakeかな。活動歴でいうと彼らは自分たちよりも5年ぐらい長いんですけど、共演した回数も多いし一緒に見てきたタイムラインもすごく近くて。

DAIKI:もともとは普通にファンだったしね。

MAKOTO:そう。それで、自分たちとして大きな出来事だったのが、2008年の『Taste Of Chaos 2008 in Japan』というイベント。東京は3DAYSだったんですけど、自分たちとCrystal Lakeが別日に出演して、これはちょっと大きなことが起こりそうだという感触があって。そのときはまだ自分たち、デモしか出してなかったんです。そこから1stアルバムの『DECADENCE』を作って、いよいよ聴いてくれる人が増えてきたり、“ラウドロック”という言葉がメディアで頻繁に取り上げられるようになったりして、自分たち的にも勢いを肌で感じていました。

MAKOTO
MAKOTO

ーーちなみに、活動開始当初のライブハウスシーンはどういう感じだったんですか?

DAIKI:同じようなタイプのバンドはそんなにいなかったよね。

MAKOTO:そうだね。似たタイプのバンドがポツポツと出てきたくらいで。その当時はアンダーグラウンドな扱いでしたし、まさかこれがオーバーグラウンドになるとは誰も考えてなかったと思うんです。

DAIKI:僕らもハードコアとかそういう畑の人たちとずっとやっていたので。僕らの音楽ってハードコアからの影響ももちろんあるんですけど、その中でもまたちょっと異色だったから、当時から異端扱いされていたところはあるかもしれないですね。

MAKOTO:その頃から残っているメンバーは僕とDAIKIとIKEPYなんですけど、3人ともバックグラウンドも違うし、メタルコアを聴いてただメタルコアをやりたかったわけではなくて、自分たちの持っているものを持ち寄って新しい音楽を作りたい気持ちが強くて。1stアルバムを作る頃はいろいろ盛り込んで、単なるメタルコアではない、HNIBならではの音楽を作りたかった。ただ、その頃は今よりもプログレッシブ志向だったので、どれだけ複雑な展開にできるか、どれだけ面白いリフを作れるか、そういうことが当時のテーマとしてあったので、自ずとそういう作品にはなっていたのかなと。

DAIKI:メタルコアだけじゃなくて、The UsedとかUnderoathとかスクリーモ系の影響もデカかったしね。そのとき流行っていたポストハードコアとか。ちょうどMySpaceが流行った時代だったので、みんなでいろいろ調べて、好きなバンドをシェアしてました。

MAKOTO:インターネットと音楽との付き合いみたいなことも、その頃から大きく変わってきたよね。当時から自分たちはインターネットを積極的に使っていて、そのおかげで知ってくれた人がたくさんいたし。バンド間の関係だけじゃなくて、お客さんや裏方含め、だいぶ助けられてきたので。

ーーその強みが、のちの海外展開にもつながったと思うんです。

MAKOTO:そうですね。ちょっと話が前後するんですけど、2012年にCrossfaithと初めて東南アジアに一緒に行ったとき、まだ1stアルバムの『DECADENCE』しか出してないのに、現地にはHNIBの曲を知っている人もいて。ある意味、いい時代にバンドを始められたなと思いました。

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