KAT-TUN、『タメ旅』復活から感じる新たな成長物語の始まり 充電期間を経て一段上のレベルへ

 2015年4月から2016年3月までレギュラー放送されていたKAT-TUNの冠番組『KAT-TUNの世界一タメになる旅!』(TBS系)が、この5月から『KAT-TUNの世界一タメになる旅!+』(以下、『プラス』と表記)となって復活した。異例の展開である。

 “異例”と言うのは二つある。まずひとつは、今回の『プラス』が4月にスタートしたばかりの動画配信サービス・Paraviのオリジナルコンテンツだということである。たびたび話題になっているように、最近ジャニーズは続々と“ネット解禁”を打ち出している。昨年はネットドラマ『炎の転校生REBORN』(Netflix)でのジャニーズWESTの主演、海外ネットドラマ『フラーハウス』(Netflix)へのマリウス葉、Sexy Zoneのゲスト出演、さらにV6・岡田准一のLINE LIVE出演もあった。また今年に入るとネット上のタレント写真が条件付きながら解禁され、YouTubeでの「ジャニーズJr.チャンネル」の開設、KAT-TUNのファンクラブイベントや山下智久のTGC出演のLINE LIVE生中継があった。そして今回の『プラス』だが、ジャニーズのレギュラー冠バラエティ番組が動画配信されるのは史上初となる。昨年からの一連の“ネット解禁”の流れに新たな1ページを加えたかたちだ。

 もうひとつ異例なのは、ジャニーズグループの冠番組が約2年余りのブランクを経て復活したことである。地上波テレビからネットへという変化はあったが、番組の内容自体はまったく変わっていない。こうしたケースは、あまり前例がないように思う。Paraviのサイトで田村恵里プロデューサーは、冗談っぽく「“奇跡”の復活」とコメントしているが、実際そう言っても大げさではないくらいレアなケースだろう。

 ご存じのように、番組の中断には理由があった。メンバーの脱退を受けて3人がKAT-TUNの“充電”を決断し、2016年5月からグループ活動の一時休止に入ったからである。その後、今年2018年1月1日「ジャニーズカウントダウンコンサート 2017-2018」で再始動を発表するまで3人はそれぞれソロ活動に専念することになった。

 亀梨和也は、『ボク、運命の人です。』『時代をつくった男 阿久悠物語』(いずれも日本テレビ系)、『FINAL CUT』(フジテレビ系)といったドラマの主演、『PとJK』(主演)『美しい星』といった映画への出演があり、俳優としての活動にますます脂がのってきた。また初のソロコンサートツアーが実現したことも忘れてはならないだろう。一方、野球を中心にしたスポーツキャスター業も相変わらず順調だ。そうしたときにもたびたび見せる細やかな気配りと頭の回転の速さは、今後MCの分野でも将来性を期待させる。

 上田竜也の活躍も印象的だった。俳優として舞台『新世界ロマンオーケストラ』での主演、そして『視覚探偵 日暮旅人』(日本テレビ系)出演を経て『新宿セブン』(テレビ東京系)では連続ドラマ初主演を果たす一方で、『オールスター感謝祭’16春』(TBS系)の「赤坂5丁目ミニマラソン」での優勝や『炎の体育会TV』(TBS系)の企画「上田ジャニーズ陸上部」など、持ち前の身体能力を生かしたバラエティでの活躍も目に付いた。そしてそうした番組のなかでKAT-TUNへの熱い思いがほとばしる場面もあって、それがまた彼の人間的魅力を伝えている。

 中丸雄一は着実に仕事の幅を広げた。俳優として連続ドラマ『マッサージ探偵ジョー』(テレビ東京系)の主演、自ら構成・演出を務めるソロアクトライブ『中丸君の楽しい時間2』の8年ぶりの公演などの一方で、バラエティ番組への進出が目立つ。さまざまな企画に毎回挑戦する『シューイチ』のレギュラー出演はもちろん、『世界ルーツ探検隊』『天才キッズ全員集合~君ならデキる!!~』(いずれもテレビ朝日系)ではゴールデンタイムのバラエティでMCを務めた。どの番組でも誠実さのなかに天然なところがふと出ることがあり、いじられ役としても絶妙の存在感がある。

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