小野島大の新譜キュレーション 第16回
Oneohtrix Point Neverの新アルバムはボーカルにフィーチャーした傑作に 小野島大の新譜10選
今年のフジロックでの出演を控え、初の単独公演も決定したロンドンのプロデューサー、ジョン・ホプキンス(Jon Hopkins)。一大センセーションを巻き起こした大傑作『Immunity』に続く5年ぶりのアルバムが『Singularity』(Domino / Hostess)です。前作のツアー後にカリフォルニアに移り住み、そこで体験した自然の美しさにインスパイアされたということですが、サイケデリックでコズミックなうねりをもったヴィジュアル・イメージを喚起するスケールの大きな音像が聴けます。強いビートを持った攻撃的なテクノと、荘厳で深遠なドローン・アンビエントの強弱を巧みにコントロールしながら、ドラマティックでシネマティックな世界を作り上げていく、そのセンスと才能の切れ味にはほとほと感服させられます。アルバムで聴いてこそ意味のある作品と言えるでしょう。まだ発売前なのでストリーミングで試聴していますが、これはぜひハイレゾで聴きたい作品です。5月4日発売。
今回はタマが多く、すべてを取り上げられませんでした。こぼれた分は次回に回しますが、最後に1枚だけ。エレクトロニックとは言いにくいオーガニックでナチュラルなヒップホップ〜R&Bが素晴らしいサバ(Saba)の『Care for Me』のメロウネスは圧倒的に素晴らしい。必聴です。
■小野島大
音楽評論家。 『ミュージック・マガジン』『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』『ナタリー』『週刊SPA』『CDジャーナル』などに執筆。Real Soundにて新譜キュレーション記事を連載中。facebook/Twitter