NormCore Fümiが語る、“歌ってみた”と“クラシック”で培われた音楽家としての精神

NormCore Fümiが語る、“歌ってみた”と“クラシック”で培われた音楽家としての精神

「現代にフィットする結果を生みだしたい」

――「傷だらけの僕ら」は歌詞もご自身で書かれてますが、どんなことを表現しようと思われたのですか?

Fümi:歌詞に関してはアニメサイドの要望が多かったのでかなりキャッチボールしながら制作したんです。バトル感というのは大前提としてあったんですけど、アニメ2期のシナリオを読んで思ったのは、登場人物たちのトーナメントにかける思いがディープで、そこに切なさや情緒的な部分を感じたので、バトルに加えてそういう要素も受け取ってもらえるような単語や表現を選びました。特に<君の瞳の奥の悲しみに 僕がもう耐えきれない>というところは、(ヒロインの)宝宝ちゃんに対する主人公の思いとも重なるし、現代はみんな戦って生きてる世の中だと思うので、幅広いフックになればと思って書きました。

――前作の「それでも僕は生きている」でも、広く現代に生きる人に向けた内容を意識されてましたね。

Fümi:具体的に何とかはないんですけど、現代にフィットする結果を生めればと思うんです。最悪そこは伝わらなくても、中学生とかに「部活で外周を走る前に聴きたい曲だよね」って言ってもらえれば幸せです(笑)。

――前作「それでも僕は生きている」の歌詞は陰のある内容でしたけど、今作は聴き手を鼓舞するようなストレートな言葉が並んでいて、少年マンガ的な熱さを感じました。

Fümi:僕は『一人之下』の2期の内容から『ドラゴンボール』の天下一武道会とか『NARUTO』の中忍試験を思い出したんですよ。だから最初からシンプルでわかりやすいものがいいんだろうなと思って、そうしたんです。

――MVもロック感を打ち出した内容で、暗闇のなかで蛍光塗料をペイントしたメンバーが演奏したりと、さまざまな工夫もなされています。前作はFümiさんみずからディレクションされてましたけど、今回は?

Fümi:今回も僕と信頼できるディレクターさんとの二人三脚で制作したんですけど、僕が作業的にカツカツだったので基本はチェック重視でしたね。蛍光塗料はディレクターさんのアイデアですごく感動しました(笑)。今回はバトルを意識して作った曲ですけど、それをそのまま映像にはしたくなくて、ずっと考えてたんですよ。そのときにパッとアイデアを出してもらったので、リリックでの「シンプルにいこう」という意識を引きずりすぎてたことに気づきましたね。

――動物の骨を被って妖しげに動く骨男の存在も印象的ですね。

Fümi:『一人之下』は中国原作のアニメなので、バトルが舞いのように表現されることが多いんですよ。それをいわゆるオールドスクールなダンスではない抽象的な動きで見せたくて、あの骨男の動きで表しました。アニメの主人公は成長していくなかで世の中の汚い部分や自分自身が何者なのかを知っていくんですけど、人間というのは自分の知らないことやシミュレーションできないことに対して恐怖を抱くと思うんですよ。それを僕の勝手な解釈で体現すると、ああいう顔になったんです。ナイトメア感を出したかったので、夢に見てうなされていただければ本望ですね(笑)。

NormCore「傷だらけの僕ら」MV (Chinese Ver.) TVアニメ「一人之下 羅天大醮篇」オープニング・テーマ

――この曲を中国語で歌ったバージョンのMVも公開されていて驚きました。

Fümi:中国原作の作品に2作連続で携わらせていただいたこともあって、リスペクトの意味も込めて歌わせていただいたんです。アニメ制作サイドも応援してくれて、中国語の先生を手配してくれたんですよ。でも中国語で歌うのは初めてだったので、とても難しくて大変でした。母音の数が日本語より多くて、舌や唇の動きだけで精いっぱいなのに、音が高くてクソ!って思うんですけど、それを作ったのは自分なんですよね(笑)。でも中国の動画サイトで600万回近く再生されてるみたいなんですよ。

――それはすごい! 4月29日にはKOTOKOさんや茅原実里さんなどが出演される中国のライブイベント『野声季アニメコンサート』にも出演されるそうですが。

Fümi:錚々たる方が出演されるので、ちょっと緊張します。普通にワクワクしてますし、楽しめればと思ってます。

――カップリング曲の「永遠の記憶」は、前作のシングルと同じく表題曲とは真逆のアプローチのバラードですね。

Fümi:さっきも言ったように、前作っぽい部分を残すことでNormCoreのイメージを定着させたかったので、カップリング曲の対比も前作と似たようなものにしたんです。それと今回はシンフォニックな表現の幅を広げたかったので、「傷だらけの僕ら」の弦のエッジが聴こえてきそうなほど攻撃的な表現方法とは対照的に、すごく優しくて遠くで鳴ってるような音を心掛けました。

――歌詞は別れを描いた切ない内容になってますが、どのようなイメージで書かれたのですか?

Fümi:テーマとしては終盤に出てくる<巡る季節>という言葉を掘り下げたかったんです。僕は季節の変わり目に昔のことを思い出すことが多いんですけど、そのなかでも春は出会いと別れの季節ということで、日本ではネガティブなイメージとして捉えられることが多いように思うんです。でも僕は決してそうではなくて、「別れ」とちゃんと向き合って最終的に感謝の気持ちになれば、いま周りにいる人に愛情を伝えたり、ちゃんと向き合うことができると思うんですよ。よく「別れたけど忘れられない」という話を聞きますけど、それは「忘れなくてはいけない」という言い方に聞こえるし、「忘れられない」ということはそれぐらい良い思い出ということで、あなたを形成した良い出来事だと思うんです。なので「忘れられないことは素晴らしいんだ」ということを伝えたくて書きました。

――別れには悲しみが伴うものですけど、この曲の主人公はそれをちゃんと受け止めたうえで前に進んでる印象があります。アレンジも最初は切ない感じですけど、後半にマーチング風のリズムが入ってくることで、前を向いて歩いていく雰囲気が出てますし。

Fümi:わー、流石! そこを汲み取ってもらえたのはインタビューで初めてです。ともすれば幼く聴こえがちな音色ではあるんですけど、そこでポジティブ感を出したかったんですよ。報われましたね(笑)。

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