八王子P、足太ぺんた、ぐるたみん……“ネット発信”の音楽活動を新作でどう表現した?

 “ボカロP”“歌ってみた”“踊ってみた”として活動をスタートさせたアーティストや、アニメ、コミック、アプリなどを活用したプロジェクトなどの新作を紹介。ネット発信の音楽活動が定着して十数年、複数のメディアを有機的に繋げ、様々な角度・視点から楽しめるコンテンツを提供することは、ここにきて完全にデフォルト化したようだ。

八王子P『Last Dance Refrain』(通常盤)

 2017年8月31日に10周年を迎える“初音ミク”。コンピレーションアルバム『Re:Start』など初音ミク関連のリリースが続いているが、八王子Pの新EP『Last Dance Refrain』も注目作のひとつだ。約1年2カ月ぶりの新作となる本作には、バキバキのEDMでブチ上げるオープニングナンバー「Last Dance feat.初音ミク」、エッジーかつバウンシーなエレクトロチューン「Bitter Majesty feat.初音ミク」、kz(livetune)とのコラボによる和テイストのアッパーチューン「名作!傑作!マスターピース! feat.初音ミク」まで、ダンスミュージックをベースにした楽曲がラインナップされている。2009年の「エレクトリック・ラブ」以降、“VOCALOID×ダンスミュージック”を追求してきた八王子P。そのストイックとも言える姿勢は、本作によって何度目かのピークを迎えているようだ。

八王子P New EP「Last Dance Refrain」XFD
足太ぺんた『Shall we dance?』

 2009年から“踊り手”として活動スタート(当時たぶん中学生)。オリジナルの個性的な振り付け、ダンサーとしての技術の高さ、お嬢様っぽいビジュアルによって高い人気を維持している足太ぺんた(動画再生数は累計2000万回超え。最近では「ようこそジャパリパークへ 踊ってみた」)が、何と歌手としてメジャーデビューを果たす。デビュー作『Shall we dance?』は、クリエイター集団・H△Gの楽曲提供/プロデュースによるミニアルバム。キラキラのエレクトロ系トラックのなかで“日常のなかのファンタジー”を想起させる歌が広がる「空飛ぶぺんぎん」、ホーンを取り入れたメロコア風ナンバー「Shall we dance?」などが収録された本作からは“カラフルな楽曲×上品なボーカル”という彼女のキャラクターが明確に示されている。オリジナル曲の“踊ってみた”も楽しみ。

足太ぺんた 1st.ミニアルバム「Shall we dance?」全曲トレーラー
ぐるたみん『WAKE UP』

 2009年の活動スタート以来、これまでに投稿した動画および派生動画の総再生数は驚異の1億回オーバー。3作のカバーアルバムはすべてオリコンチャートTOP10に入るなど“最強の歌い手”としてのポジションを獲得しているぐるたみん。昨年4月に発表した初のオリジナルシングル『GIANT KILLING』に続く2ndシングル『WAKE UP』は、歌い手としてはもちろん、ソングライターとしての資質の高さを証明する作品だ。もっとも強いインパクトを放っているのはタイトル曲「WAKE UP」。エッジの効いたギターとダンサブルなリズム、そして、シャープかつポップなメロディラインがぶつかり合うこの曲は、たとえば邦楽ロックフェス好きのユーザーにもアピールするはずだ。

ぐるたみん / GLUTAMINE - WAKE UP

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