星野源は人々の生活の中に豊かな物語を見出す 「サッポロ 麦のくつろぎ」新CM起用を機に考える

星野源は人々の生活の中に豊かな物語を見出す 「サッポロ 麦のくつろぎ」新CM起用を機に考える

 星野源が出演する「サッポロ 麦のくつろぎ」新TVCM「ノンアルを変える篇」の放映がスタートした。

サッポロ 麦のくつろぎ「ノンアルを変える」篇

 日差しの入る部屋の中で、文庫本を片手に机にだらっと伸びてうたた寝をしている星野源。その文庫本が気づくとノンアルコールビールに変わり、山岸門人演じる“天の声”が突然聞こえてくるーーサッポロビールのブランドのひとつである「麦のくつろぎ」のCMで描かれているのは、そんな風景だ。

 天の声という設定は別として、休日の昼下がりにゆるっとビールを飲んで過ごすのは、珍しい光景じゃない。ありふれた日常の一幕を、星野源は自然体で演じている。

 これまでにも星野源は度々TVCMに出演してきた。“どんぎつね”に扮した吉岡里帆との共演が話題となった「どん兵衛」、「肌」が使用された「ビオレu」、「Drinking Dance」にあわせてダンサーとともに踊った「ウコンの力」。星野源の登場の仕方や演出の違いはもちろんあるが、出演するCMはどれも、衣食住、生活にまつわる用品という点で共通している。

 星野源の音楽においても、生活というのは大きなテーマだ。既存の形にとらわれない、新しい二人や家族の形を歌った「恋」や「Family Song」。『ドラえもん』のモチーフを使い、子どもにも届く平易な言葉で“未来は自分次第で作れる”と伝えた「ドラえもん」。そして、4月2日からスタートしたNHK連続テレビ小説『半分、青い。』主題歌「アイデア」でも、<おはよう 世の中>から始まり、それぞれの朝を迎える人々に優しく歌いかけている。

 恋愛や家族、日々の営み。星野源は、大げさじゃない、いつもすぐそこにある人々の関係や風景、感情を言葉に綴ってきた。

 また、TBS系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』においても、星野源演じる”平匡さん”と新垣結衣演じる“みくり”が暮らす部屋のシーンが中心となっていた。起きて寝て、食べて掃除をして、共に暮らす人と会話をする。特に、食事のシーンは、毎話印象的に使われており、二人のその時々の関係性を示唆していた。こういった過去の出演作のイメージも、CM出演につながっているのだろう。今回の「麦のくつろぎ」のCMから、“平匡さん”の姿を思い出したのは、おそらく筆者だけではないはずだ。

 大型タイアップの楽曲の発表が続いている星野源の近年の活動。国民的作品である『ドラえもん』は例外ではあるが、映画よりも比較的多くの人の目にとまるテレビを通して、私たちは毎日星野源の姿を見て、その楽曲を耳にしている。なにげない日々を暮らす人々に寄り添い、より近しいものとして音楽を届ける。星野源は、市井に生きる人々の生活の中から豊かな物語を掬い出して歌うスターである。

(文=若田悠希)

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