noovyが見せた“1年の集大成” 初ツアーファイナルを振り返る

noovyが見せた“1年の集大成”

 noovyの4人はロック/ポップ/クラブミュージック/ヘヴィロックなど時代/ジャンルを問わず様々な音楽を聴いているため、彼らの趣味嗜好がより反映されれば、音楽性はさらに広がっていくだろう。中盤には「ここは僕たちが初めてCDを売った場所です。そのとき売れたのは6枚でした。でも、2人が2枚買ってくれたので、ファンは4人でした」「今、こんなに来てくれて感動です!」とMC。この場所から日本での活動をはじめた彼らが、観客とともに成長してきたことを伝える瞬間だった。

Shawn

 そうしたオリジナル曲での逞しい成長があるからこそ、中盤にカバー曲として披露されたColdplayの「Yellow」(2000年の『Parachutes』収録)も魅力的なアクセントになっていた。この楽曲はShawnがオーディションの際に歌った曲。MCでは「『Yellow』があるから、今のShawnがいます」と思いを伝えてアコースティックギターを弾きはじめ、Hankのギターリフなどを加えてバンドの演奏がスタート。メンバーが促して観客がスマートフォンの明かりをペンライトのようにかざし、会場の風景がガラリと変わっていく。続いて〈寄り添い歩いていく〉という歌詞を持った「Lily」でメッセージをストレートに伝えると、Shawnが作詞/作曲を担当したUSポップパンク風の「First Kiss」では観客からクラップが生まれて会場一体に。Markが4カウントを取った新曲「Dunk Shot!」ではギターがドライブする爽快感いっぱいのロックチューンで、ポップでロックなnoovyらしさを全開にした。

Hank

 とはいえ、この日のハイライトは、「僕たちの初めての本格的なラブソングです」とMCしてはじまった「Singin' for you」だ。エモーショナルなShawnの歌ではじまり、Markのドラムを皮切りにメンバー全員の演奏が熱を増すこの曲は、〈照れくさくて/言えない/想い乗せて/この声ずっと届けたい〉というファンへの気持ちが込められたナンバー。音楽的にもnoovyが大人びた表情を見せる、バンドの「深み」を伝える楽曲でもある。本編最後は最初期からの楽曲「Garage」。「この曲はずっと僕たちと一緒に成長して、どんなときも近くにいてくれました。一緒に色んな場所に行きました」と過去を振り返ると、ロック/ポップ/バラードと様々な楽曲を横断したこの日のステージを締めくくるように、ふたたび疾走感満載のロックチューンが広がっていく。アンコールではファンからリクエストされた「ONE」などを演奏。最後は〈Ohoooooo All for One/Ohoooooo One for All〉というサビを会場一体になってで合唱し、文字通り“ひとつに”なりステージを終えた。

JK

 約1年前、日本にやってきたnoovyは、共同生活を送りながら精力的にライブをこなす中でバンドとしての絆をより深め、彼らの人気は徐々に広がっていった。その出発地点になった渋谷O-nestでのツアーファイナルは、2017年1月からはじまった約1年間におよぶ日本での活動の集大成とも言えるものだった。もちろん、4人にとってここはまだまだ通過点。現在バンドはハイペースでレコーディングに入っているとの情報もあるため、いよいよ日本でのデビューアルバムにも期待できるかもしれない。この1年間に様々な成長を遂げた彼らだからこそ、これからどんな景色を見せてくれるのか、ますます楽しみにしたい。

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

■セットリスト
M1. Never Gonna Stop
M2. Cross the Line
M3. Thunder(仮・未発表音源)
M4. Move It
M5. bye bye darling(English ver.)
M6. Yellow(COVER from Coldplay)
M7. Lily
M8. First Kiss
M9. Dunk Shot(新曲・未発表音源)
M10. Singin’ for you
M11. Garage

<ENCORE>
En1. Knockin’(仮・未発表音源)
En2. ONE

noovyオフィシャルサイト

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