ビッケブランカ、新曲「ウララ」で描いた“サヨナラの肯定” 歌詞に込められたメッセージを読み解く

ビッケブランカ、新曲「ウララ」で描いた“サヨナラの肯定” 歌詞に込められたメッセージを読み解く

 ビッケブランカが、4月18日にメジャー1stシングル『ウララ』をリリースする。

 ビッケブランカにとって初めてのシングル作品となる同作には、ポップなダンスナンバー「ウララ」をはじめ、桜をイメージしたバラードソング「今ここで逢えたら」など計4曲を収録。これからの季節にぴったりの春を感じる作品に仕上がっている。

 過去のインタビューにて幼少時代からSMAPの大ファンであることを明かし、多大な影響を受けていることを公言しているビッケブランカ。その影響は、彼の楽曲制作やアーティスト活動にまで繋がっているという。そこに注目しSMAPに関する書籍も執筆するライターの乗田綾子氏による寄稿文を掲載。ビッケブランカの生み出す楽曲と国民的アイドルグループが発信し続けてきたメッセージに通ずる部分とは。(編集部)

「ウララ」の歌詞に込められた「サヨナラの肯定」

ビッケブランカ『ウララ』(official music video)

「平成ってどんな時代だったと思う?」

 もうすぐ歴史になろうとしているこの時代を語ろうとするとき、否定ではなく肯定の言葉をつい探してしまうのは、自分が平成しか知らずに生きてきた世代だからかもしれない。

 おおよそ1980年代以降に生まれた現在の30代以下は、幼い時代も青春も、成功も失敗も、すべて平成の中で体験している。

 1987年生まれの男性シンガーソングライター・ビッケブランカも、昭和にルーツを持ちながら平成で育った大人の一人である。

 4月18日に発売される彼のメジャー1stシングル『ウララ』は春の別れを歌いながら、歌詞に用いられる言葉はどこか眩く明るい。

 そしてそのメロディはもっと軽快だ。

 平成30年の私たちはこのポップソングのひらめきを、きっとどこかで共有している。

 平成において世間一般が広く共有している音楽のひとつとして、国民的アイドルグループ・SMAPの楽曲名を思い浮かべる人は今も多いだろう。そしてビッケブランカの音楽のルーツもずばり、子ども時代に聴いていたSMAPだ。

 美麗なハイトーンファルセットとピアノ、そして抜群のメロディセンスでいまや大型音楽フェスから引っ張りだこのアーティストとなりつつあるビッケブランカは、その原点を聞かれるといつも迷いなくその名を挙げる。

 身体が弱く長い入院生活も経験した小学生の頃、後にビッケブランカと呼ばれることになるベッドの上の少年はカセットテープでSMAPの曲を繰り返し聴いていたという。

「SMAPの新曲があまりに楽しみすぎて、自分で新曲を想像して作ることもあった」(参考:Mikiki インタビュー

 時に音楽ファンも唸らせた本格的サウンド、そして現実的な中にも必ず明るさや優しさを含んでいたその歌詞は、まさに平成の子どもだけが見ていた「明るく輝く平成」の象徴でもある。

 しかし時間は流れ2016年、平成の終わりが見え始めたそのちょうど同じ時期、国民的アイドルグループ・SMAPも歴史に自らピリオドを打つこととなってしまった。

 突然人生の隣人のようだった存在がいなくなってしまった平成最後の日々の中。それでも平成で育った者たちがやがてそれぞれに見出したものがあったとしたら、それはまさにビッケブランカの「ウララ」で描かれている大人の別れ、「サヨナラの肯定」の意味だったようにやはり平成の明るさを知る、同世代の私は今思う。

 どんなに楽しい時代でも、終わってほしくなかった時間でも、季節が巡ればいつか別れが来る。

 だけど知らぬ前時代の残像を背負って育ったかつての子どもたちは、いつも良かった過去ではなく、これからの未来の方を向いていたいのだ。

 そしてそこにある肯定こそ、かつて国民的アイドルグループが笑顔で歌い続けたメッセージでもあった気がする。

<春らしく笑顔でまた逢いましょう さよならです>
<おもひでひとつ 大人になって 去年のことは忘れませんか>

 平成育ちの天才シンガーソングライターがメジャー1stシングル曲に選んだのは、愛の歌であり、春の歌であり、ひとつの別れを知った大人たちの”あの頃の未来”の歌である。

(文=乗田綾子)

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