三浦大知はついにビッグセールスを手に入れたーー安室奈美恵のチャートアクションとともに分析
おそらくは、ずば抜けた才能と「いかにも子供」な愛らしさがアンバランスすぎた。あるいは、最初のイメージが強すぎて「大人の三浦大知」が浸透していくのに時間がかかりすぎた。もしくは、完璧に歌って踊れるソロシンガーのパフォーマンスというものが、仲間の連帯感やストーリーを重視しがちなJポップの世界に馴染みにくかったのかもしれない。理由はいろいろ考えられますが、そこでコロコロと路線を変えたりキャラクターで媚びたりしなかったのは、まことに立派な姿勢だと思います。
子役は大成しないという常套句を無視するように、大人になっても輝きを保ったまま、ライバル不在の場所でひたすらスキルを磨き、今ようやくビッグセールスを手に入れた三浦大知。2005年のソロデビューシングルから最新曲までを並べた『BEST』にも、しみじみと感慨深い気持ちになるのでした。
■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。