武藤昭平 with ウエノコウジが語る、音楽に対する探究心「曲に向かう姿勢が10年前と全然違ってる」
関わったアルバムはすべて名盤にしたい（武藤昭平）
ーーおふたりとも長くやってますけど、長くやれる秘訣というのは……。
ウエノ：くっくっくっ（笑）。辞める必要がないもんねえ。
武藤：どっかしらバカかもしんないですよね（笑）。
ーー辞めたくなくても辞めざるをえない人もいるじゃないですか。
ウエノ：バイトしながらでもできるしさ。
武藤：うん。あまり考えないことじゃないですか（笑）。
ーー20歳の時に自分が50歳までやれると思ってました？
武藤：……わかんないなあ……。
ウエノ：野口五郎ヘアってまだ10代でしょ？
武藤：わははは！ 19歳の時ですね。The Shamってバンドでデビューしたころ。
ーー野口五郎？
ウエノ：『ラヴ・ユー・ライヴ』の頃のキース・リチャーズのつもりで髪型作ったらどう見ても野口五郎だっていう（笑）。あの頃から考えると長い時間が経ったねえ。
ーーおふたりは基本的にやりたいことをやって、ここまできてると思うんですけど、その都度気をつけてたこと、心がけていたことはありますか。
ウエノ：うーん……絶対あったと思うんだけど忘れちゃったなあ（笑）。ただ、レコードを作るってすごく大変なことで、マスタリング終わるまで、思ってることを全部出し切ろうとは思ってる、ファーストの頃からずっと。その時点での100%を出さないと皆様には届けられないなって感覚はあるね。
ーー常にその時点での全力を尽くす。余力は残さない。
ウエノ：ないない。（今作の）曲ももう1曲も残ってないもん（笑）。これがすべてです。もう無理。
ーーいつもそうなんですか。
武藤：そうですよ。ストックなんかない（笑）。関わったアルバムはすべて名盤にしたいって思いはありますよね。まず自分がそう思いたいし。全曲を愛してるし、過去に何枚も出してるけど、全部覚えている。
ーー3月にはウエノさんの生誕50年記念ライブ（『golden jubilee〜ウエノコウジ50生誕祭』）も行われますね。
ウエノ：今まで池畑（潤二）さんとか花田（裕之）さんから始まって、いろんな人の50歳を祝ってきて、祝ってる方が性に合ってるなって思ってたんだけど、やった方がいいよって言われたんで。じゃあやってるバンドを集めて何かやろうかなって感じですかね。
ーーいろいろ祝ってきた分、いろんな人に祝ってもらえそうですね。
ウエノ：奥野真哉の時とか、司会までやってるからね！ なのでオレの時は奥野さんを司会で呼んでる（笑）。一彦の時だってそうだよ。オレ18曲ぐらい覚えさせられて。たった1日のために。大変だったんだから！ その恩があるから、（出演を）絶対イヤと言わせない自信があったんだよね。
ーー武藤さんも今年の12月で50歳ですね。
武藤：うーん、あまり意識してないすね。ていうか、いいのかなこのまんまでって思うよね。精神状況とか（笑）。昔よりは大人になってるはずなんだけど、自分の感覚としては20歳ぐらいの時の感覚と変わらないんですよ。これでいいのかなって気がしますねえ。
ーーもっと成熟した大人になってたはずなのに！ と。
武藤：そうそう（笑）。まあまだ健康的に頑張って生きてるから、特にカラダを壊すこともなく……。
ウエノ：健康的じゃないと思うよ？（笑） 飲み過ぎだよ！
武藤：（笑）。まあ今のところは大きな病気もなく、生きてニューアルバムが出せるということで。それは幸せだなと思いますけどね。周りの同世代でも亡くなる人もいるからね。葬式出たりすると、オレまだ普通にニューアルバム出せるし、ツアーも回れるし、有難いなと思いますけど。
ーー武藤ウエノ以降……かもしれませんが、バンドをやってた人がソロで弾き語りツアーをやる例が、すごく増えましたよね。それで見えてくるものとかあるんでしょうか。
武藤：あると思います。そういうところで受けた刺激を持って帰って。オレも武藤ウエノを始めたことで曲の作り方とか全然変わってきたから。ステージの上からちょっと離れた場所にお客さんがいるのではなく、目の前にお客さんがいる。そのお客さんに届けるためにどう歌えばいいのか。舞台の上で芝居のようにきちっと見せるような感覚で歌詞を書くのと、目の前にいるお客さんに喋りかけるように作る歌詞はまったく違うので。そういうのは身に染みましたよ。なので自分の曲の作り方は10年前と全然違ってる。曲に向かう姿勢というかね。勝手にしやがれもそういうタイプの曲が増えてきましたね。
ーーなるほど。ウエノさんは50歳を迎えて、なにか変わってきました？
ウエノ：こないだフジテレビのCS放送の番組『MUSIC SOUP』で、自分の影響受けた曲45曲を選んでくれって言われて選んだんだけどね。それについていろいろ話すんだけどさ、50歳どころか中学の頃からあんまり変わってないなと思うんだよね。経験も積んでスキルも向上してるし、若い頃みたいな「オレがオレが」の精神も薄れたかもしれないけど、かっこいいと思うポイントって中学の時からあんま変わってないので、変わったという感覚がないんだね。だから……いいんじゃないかと思うんだよね。このままで。
ーーおふたりぐらいの年齢の音楽家に話を訊く機会も多いんですが、残りの時間を意識するようになったとおっしゃる方が多いんですよ。残りの人生であと何枚アルバムを作れるか、何ができるか意識すると。おふたりにはありますか？
ウエノ：……今から考えようかな（笑）。50歳になる時に今回のアルバムを出せてさ、次の武藤ウエノが3年先か4年先かわからないけど、次のアルバムが大事だと思うね。でも池畑（潤二）さんとかオレの10歳上だけどさ、そういう人たちに比べるとオレら若手中の若手だよ。「おいウエノ、パン買ってこい！」って言われたら買ってこなきゃいけないからね！（笑）。
武藤：去年、一彦さんのバースデーライブの時、オレが最年少だったんですよ（笑）。そういう感覚、久々だなと思って。
ウエノ：いいと思うけどね、年取ること。悪くないけどね。このレコードは特に20代ではできないからね。
ーー武藤ウエノのやり方だったら、いくつになっても年齢に応じた作品を作れると思いますよ。
ウエノ：そうだね！ このアルバム、おじさん受けはいいんだよ（笑）。どうやったら10代、20代が聞いてくれるのかなと思ってるんだけどね（笑）。
武藤：若い人も手に取って聞いてみてください！
ウエノ：ライブ来てください、笑わせますから（笑）。
（取材・文＝小野島大／写真＝稲垣謙一）
『JUST ANOTHER DAY』
発売：2018年2月28日（水）
価格：¥3,132（税込）
＜収録曲＞
01. 凡人讃歌
02. ウェイブ
03. I won’t back down
04. エブリディ・イズ・ラッキーデイ
05. シンガポール急行
06. PM7:00
07. コロンブス
08. ローリン・サーカス
09. オールド・ミラー
10. ベーコンエッグとカフェオレはノンシュガー
■ライブ情報
『golden jubiliee ～ウエノコウジ 50生誕祭』
3月27日（火）渋谷TSUTAYA O-EAST＜SOLD OUT＞
出演：the HIATUS /武藤昭平withウエノコウジ / Radio Caroline /
golden jubilee band [MEMBER:ウエノコウジ/古市コータロー（THE COLLECTORS） /
クハラカズユキ/山本健太] and more
3月31日（土）京都 磔磔
出演：武藤昭平withウエノコウジ
guest：藤井一彦（THE GROOVERS）、堀江博久
『武藤昭平withウエノコウジ JUST ANOTHER DAY TOUR』
出演：武藤昭平withウエノコウジ BAND SET
MEMBER:武藤昭平、ウエノコウジ、藤井一彦(THE GROOVERS)、堀江博久
5月15日（火） 下北沢GARDEN
5月17日（木） 心斎橋JANUS
5月18日（金）名古屋JAMMIN’
『武藤昭平withウエノコウジ JUST ANOTHER DAY TOUR』
出演：武藤昭平withウエノコウジ
MEMBER:武藤昭平、ウエノコウジ
3月3日（土）東京・Zher the ZOO YOYOGI
3月10日（土）愛知・蒲郡BUZZ HOUSE
3月11日（日）静岡・浜松GRINDHOUSE
3月23日（金）神戸・Chelsea de Rumba
3月24日（土）山口・湯田温泉【新店舗】
4月7日（土）桐生・Basement Lounge LEVEL-5 Rock in The House
4月13日（金）山口・岩国ロックカントリー
4月14日（土）広島・音楽喫茶 ヲルガン座
4月30日（祝月）青森・COYOTE RANCH 47CLUB
5月1日（火）福島・郡山HANGOVER
5月5日（土）宇都宮・コーヒー・ルンバ
5月6日（日）古河・BEEP
5月11日（金）北九州・CHEERZ
5月12日（土）尼崎・茶カフェ＆ダイニング 桜里
6月1日（金）新潟・LIVE HALL GOLDEN PIGS-YELLOW STAGE-
6月2日（土）富山・高岡 GOOD Fellows cafebar+music
6月8日（金）大分・十三夜-JUSANYA-
6月9日（土）福岡・the voodoo lounge
6月10日（日）熊本・ROLL CAFE
6月15日（金） 神奈川・元住吉POWERS2
6月23日（土）高松・DELTA MARKET
6月24日（日）松山・Monk
6月29日（金）札幌・Bar Stingray
6月30日（土）北見・オニオンホール
7月7日（土）大阪・HOWLIN’ BAR
7月8日（日）大阪・HOWLIN’ BAR
7月13日（金）名古屋・得三
7月14日（土）豊橋・capra
