和楽器バンドは日本の伝統芸能を牽引する存在に? 国内外から注目されるエンターテイメント性

和楽器バンドが伝える伝統芸能の魅力

 黒流がひとりステージに姿を見せると、身の丈以上の大きさの太鼓を長棒で打ち鳴らす。黒流の太鼓さばきと炎の演出に圧倒されるのも束の間、そこへ太鼓隊とダンサーが流れ込み「海戦乱打」がスタート。そこから「戦-ikusa-」を続けると、体の芯から響く太鼓の音色と激しく舞い踊るダンサーがステージ上でシンクロし、心身を鼓舞するような衝撃を生み出した。音と音が弾けあい、肉体が躍動する様は、もはやライブではなく祭を見ている感覚に近い。本編ラストには、桜の花弁が舞い散るようなピンク色に包まれた会場で、和楽器バンドの代名詞ともいえる「千本桜」を披露した。

 津軽三味線隊、剣舞、太鼓隊など、和楽器バンドに様々な要素をプラスして作られた今回のステージは、いつも以上に日本の伝統芸能を強く感じられるものになっていた。MCで鈴華が「『日本のバンドといえば和楽器バンドだ』と言われるようになりたい」と語っていたように、これからの飛躍によっては2020年の東京オリンピックへ繋がっていく可能性もある。

 4月25日には5thアルバムの発売も決定している和楽器バンド。2018年は新しいスタートを切る、という意味が込められている同公演のサブタイトル「明日への航海」が示すように、和楽器バンドの名前が世界を横断して広まっていくことに期待したい。

(文=泉夏音)

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