ワイヤレスイヤホンの波は止まらない? 2017年に遂げた進化とトレンドを読む

DZBES-100-D-BK/WH/RE(2017年11月6日発売)

Image by ドン・キホーテ公式サイト

 実はドン・キホーテのプライベートブランドである情熱価格も、左右独立イヤホンを発売している。情熱価格といえば5万円台の4Kテレビでも話題になったが、まさかここまでトレンドを押さえてくるとは。最大の付加価値はやはり安さだが、こう見えてSBCとAACコーデックに対応しているのが侮れない。

 ハンズフリー通話や4サイズのシリコン製イヤーピースなどが付属しており、左右独立イヤホンとして最低限の性能は有している。それでいて100均イヤホンのようなドンシャリでもなく、言っては失礼だが普通に聞けるレベルだ。少なくとも、多くの人に受け入れられる音質は十分に確保できている。「左右独立イヤホンで音楽を聞く」ということへの入門機として、十二分な製品と言えるだろう。

 2017年はスマートスピーカーやIoT家電などが話題となったが、どれもワイヤレスでありながら、何かを操作できるということにカタルシスを覚えるものだった。その背景にはクラウドサービスやディープラーニングといった人海戦術的技術もあるが、それらを伝送するワイヤレス技術は、いわばIoTのインフラにあたる。そうしたインフラ技術が音楽業界に浸透することで、ワイヤレス試聴の発展に繋がったように思う。クラウドやディープラーニングといった技術は音楽制作の面において影響があったようだが、それはまたの機会に語るとしよう。

 これからの左右独立イヤホンは、このまま堅調に価格・音質・付加価値を向上させていくのか、それとも飽和状態からのブレイクスルー待ちになるのか、あるいは一過性の流行りものとして右肩下がりになってゆくのか。2018年のワイヤレスイヤホン界にも、引き続き注目していきたい。

■ヤマダユウス型
DTM系フリーライター。主な執筆ジャンルは音楽・楽器分析、アーティストインタビュー、ガジェット、プリキュアなど。好きなコード進行は<IVM7→VonIV>、好きなソフトシンセはSugarBytesの「Obscurium」。主な寄稿先に『ギズモード・ジャパン』、『アニメイトタイムズ』、『リアルサウンド』。

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