NICO Touches the Walls、SHE'S、DADARAY…洋楽的アプローチが楽しめる新作

DADARAY『DADASTATION』
DADARAY『DADASTATION』

 ゲスの極み乙女。、indigo la End以上にDADARAYが好きというリスナーはじつは多いのではないだろうかと、このアルバム『DADASTATION』を聴いて改めて思った。休日課長(Ba / ゲスの極み乙女。)が立ち上げたこのバンドの最大の特徴は、川谷絵音の作詞・作曲による楽曲を女性シンガー・REISが歌うこと。<あなたが望まなくても 強い女でいさせて>というフレーズが突き刺さる「少しでいいから殴らせて」で始まり、<泣かない私は強い>と歌う「優しい鬼に」で終わる本作には、川谷の女性観、恋愛観が透けていて、それを女性が歌うことで、男女の根源的なすれ違いを描くことにつながっている。諦念と情念を内包しながら、それを決して表に出さないREISのボーカル表現も見事。こんなにも切実でリアルなラブソングにはなかなか出会えないと思う。

DADARAY「僕らのマイノリティ」
warbear
warbear『warbear』

 2016年10月に活動を終了したGalileo Galileiのフロントマン、尾崎雄貴のソロプロジェクト・warbearの1stアルバム『warbear』。以前から同時代の海外インディーロックシーンとリンクしたサウンドプロダクションを志向してきた尾崎だが、本作ではソングライターとしてのルーツ(ニック・ドレイク、ヴァン・モリソン、ニール・ヤングなど)の影響をダイレクトに感じさせる、どこか内省的な楽曲が中心となっている。80年代前半のRoxy Musicを想起させるようなドリームポップ的音響のなかをゆったりと漂いながら、ときに鋭い悲しみを投影するようなボーカルも強く心に残る。

'"warbear" ep1

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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