スキンヘッズ、サイコビリー、パンクス…日本ではなぜ仲が良い? 田中昭司×柳家睦×ISHIYA座談会

田中昭司×柳家睦×ISHIYA座談会

日本では考えの違う人間でも音楽を通して仲良くなれる

柳家:音楽だけの先輩よりは、人間として付き合っててどういう人なのかっていうのもありますよね。たまたまジャンルが違うってだけで。熱くなればジャンルのことは出てくると思う。だから先輩には失礼かもしれないですけど、音楽があってよかったですよ。

昭司:今は整然としてるからね。みんな従う人になってしまってるというか。従わない人が多かったじゃん。抑えるものもできてなかったし。今は整っちゃってるから。なんかやれば、そこら中にカメラがあってさ。今は人間も変わってきてるんだろ。

柳家:でもそうじゃないと続かないですもんね。

ISHIYA:続けようと思ったからなんだろうね。たぶん続けようなんて思ってなくて好き勝手やってたら、たまたま続いたっていう人が多いとは思うんだけど、やってるうちに「これは続けたら楽しい」って気づいたんだろうね。生き甲斐があるし。

柳家:そうですね。そう思ってるやつがほかにもいて、そういうやつと仲良くなって……というのはありますよね。

ISHIYA:昭司はパンクとかサイコビリーに対して、どこに魅力を感じる?

昭司:全部に感じるけどね。かっこいいなと思う。

ISHIYA:それは音楽的なところ?

昭司:音楽的にも人もそうだけど。やっぱり残ってるやつは円熟してるよね。海外だと思想の違いもあるんだろうけど、考え方の違いで殺しあうほどのものなのそれ? っていう気がするよね。ガキの頃は気に入らねぇとかあるだろうけどさ、殺すほどのもんじゃねぇだろ。ちょっと幼稚だよ。右や左って言ってさ、それぞれの悪口を歌にしてごちゃごちゃ言うのとかさ。

ISHIYA:向かうところが違うと思うよ。

昭司:そう。それを聴いてるやつらが、何か楽しいことがあるのかよ。

ISHIYA:外に向けていかないとね。闘う方向を間違えるなって。

昭司:それこそガキの頃の喧嘩レベルというかさ、そこから全然脱してないでしょ。そんな気がするよね。

柳家:そんな人たちばっかじゃないですか。海外の考えも円熟味増してねぇ~みたいな。僕なんかが先輩たちや怒ってる人たちを見てると、考え方は全然違うんだけど最終的にどこへ行くかっていうのは意外と一緒だなって思ってるんです。前に進む中でこういう考えなんだって思うし、それがパンクだったりスキンズだったりってなれば、そこにも色が出てるんですよ。スキンズの考え方とパンクの考え方では根本がちょっと違っても、突き詰めていくと同じようなことを言ってたり、優しさが一緒だったり。

昭司:交わるところがあるよね。それぞれが違う輪なんだけどさ。

ISHIYA:ちゃんと受け入れ合ってるんだと思う。でも、海外はたぶん、少し似た部分があると排除していくんだと思う。違う思想なり何なり敵対するようなものなのに似てるのが嫌なのかもね。

柳家:この前海外のライブを見てたら、同じバンドでも「俺はこうだ」「それはわかった。でも俺はこうだ」「それはわかった。でも俺はこうじゃん?」これいつまで続くんだ? って。「わかるわかる、それわかる。でも俺は」って、認めてから個人を主張するんですよ。そうなってくると「俺パンクだから」「いや俺スキンズだから」「それ知ってんだよ」って堂々巡りになるから、日本では仲良くやってるのがびっくりするのかなって。

ISHIYA:結構海外のやつは本当にびっくりするんだよね。「スレッジハンマー(鐵槌)はレイシストじゃないのか?」って聞かれることもあって、「違うよ、あいつとは昔から仲良くて、ロックとかパンクやハードコアも好きだし」って言うと「本当か!」ってびっくりしたり。

昭司:音楽が好きでみんなやってんだからさ、繋がるところが絶対にあるわけじゃない。思想が邪魔してるんだよね。

ISHIYA:そこを認めるか認めないか、受け入れるか受け入れないかってところだね。たぶん日本に限って言うと、認め合えるところが多いんだろうね。悪いところじゃなくて良いところを見るから。あそこかっこいいじゃん、ここ良いじゃんって。それが世界でも珍しい日本のシーンなんじゃないかな。

柳家:海外基準の善悪(宗教観) は共存することを断絶する傾向があると思いますが、 この座談会のように音楽のしかもアンダーグランドの良いところは、考えの違う人間でも音楽を通せば仲良くなれるというところだと思います。 海外では当たり前って考えを鵜呑みするより、この日本で経験したことが大切だと感じました。

昭司:これから海外に出て行くやつら、ロックをするやつら、海外に寄せるんじゃなく、てめえの方に海外のやつら、ギグに来るやつらを寄せなよ。たった一度の人生やりたいように生きれば良い。己の中から出てくる音を聴かせて欲しい。終わりがくるその日まで。

(文=ISHIYA)

■ライブ情報
<鐵槌>
『独狼奏宴』
11月25日(土)下北沢SHELTER
OPEN19:00/START19:30

出演:鐵槌(ワンマン)
チケット:前売¥2,000/当日¥2,500(ドリンク別)
チケットぴあ
ローソンチケット
イープラス
SHELTER
予約はFacebook Messenger @sledgehammerjpにて

<柳家睦とラットボーンズ>
12月17日(日)熱海芸妓見番(芸者と花火と柳家と)
12月31日(日)新宿LOFT『お昼のビッグショー大晦日スペシャル』

2018年
1月14日(日)下北沢SHELTER『お昼のビッグショー&夜のダイナマイトショー』

<FORWARD>
12月16日(土)名古屋RED DRAGON
12月28日(木)渋谷RUIDO K2
12月29日(金)新宿LOFT
12月31日(日)新宿アンチノック『BURNING SPIRITS 2017~2018』

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