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スキンヘッズ、サイコビリー、パンクス…日本ではなぜ仲が良い? 田中昭司×柳家睦×ISHIYA座談会

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“不良文化”から広がった音楽

ISHIYA:俺が最初にサイコビリーを聴いたのが高校生のときで、その頃は原宿の歩行者天国でローラーが踊ってたじゃん。日本は確実にあれがデカかったと思う。

柳家:ああ、クリームソーダとか。

ISHIYA:不良文化の原点が原宿にあって、そこにみんな集まって来て、元々不良で仲良かったやつらが音楽に目覚めて枝分かれしていったから仲良いのかなって。

昭司:そうかもしれない。根本は一緒なんだよな。

ISHIYA:そういうのが海外ではすごく不思議に映ってると思うんだよ。

昭司:まぁはじめから違うんだろうね。根っこも違うし。

柳家:いやでも俺は、地方に行くと仲良いのがあり得ないって言われますよ。この前なんか地方のサイコビリーの子が「睦さんは昭司さんの誕生日の司会やったんですか?」って言われて。別に司会じゃなくて、マイク持たされて喋ってみたいな感じなんですけど、そういうこと自体が「何でそこにいるの?」っていう、その価値観ですよ。何でって先輩だし兄貴だろ! お前そこにジャンル関係あんのか! っていう。

ISHIYA:でも世界的に不思議なのはそこなんだよ。その地方の子が「何で?」っていうのは世界中が思っていることで、日本のパンクスでも俺が昭司と仲良いのがわけわかんない人もいるみたいだし。かなり昔から仲良いんだけどね。

昭司:バンドやってない頃からだもんな。

ISHIYA:その「何で?」ってところが俺らにとっては当たり前じゃん。それを表に出していることによって、疑問に思ってる人がいても、訊けないし口に出せないところもあるみたいでさ。

昭司:みんな違いはあるけどさ、それはジャンルと関係ないもんね。

ISHIYA:それが普通はジャンル関係あるわけよ。思想とか文化が違っていて、相容れない文化や思想とは敵対する、みたいなのが基本的な構造だったりするんだよ。

昭司:でもそれ言ったら、それこそが戦争の原因だからね。世界中の戦争の原因なわけじゃん。ちょっとした宗教の違い、考えの違いでそうなって行くわけでしょ? 一番くだらないと思うんだけど。

柳家:日本でも仲が良いのは、僕は東京だけだと思いますけどね。なんとなく。

ISHIYA:地方は違うのかな?

柳家:全部ではないと思いますけどね。上の世代の人たちが仲良いとそういうもんなんだってなるところもあるじゃないですか。例えば高円寺三中と高円寺四中の番長が仲良いと、んじゃ同じ一年生も仲良くやるべって絶対あると思うんですよね。

ISHIYA:なるほど、昔の不良文化みたいな感じね。不良文化では先輩後輩っていうのが絶対的なものじゃない?

柳家:俺は結構それはあるかもしれないと思ってます。この中でも一番年下だし、結局出る杭は打たれるみたいなところはあったから。とりあえずつっぱってないとヤバイじゃないですか、頼るところもないし。でも年を取っていって、頼るところがパンクの兄貴だったり、スキンズの兄貴だったりしたから、なんかジャンルって言われると、俺は本当に「そんなもん関係ねぇよ」ってなっちゃうんですよね。

ISHIYA:若い子たちは、俺たちが仲良いからっていうのがあるのか。

田中昭司(鐵槌)

昭司:それはあるんじゃない。それもみんな好き勝手やってきた結果だと思うけどね。みんな上に従ってやってきたわけでもないし。

柳家:逆に若いときどうだったんですか? バチバチ喧嘩とかしなかったんですか? 2人以外で、パンクスとスキンズで。

昭司:スキンズになってからはあったな。昔はスキンズがいなかったからね。

ISHIYA:そうだね。東京は昭司なんかが最初だもんな。昭司はなんでスキンズになったの? パンクだったのに。

昭司:もうハードコアは、凄かった人がいたからね。ハードコアも好きだったんだけど、自分で新しいものをやりたかった。

ISHIYA:シーンを創り出すっていうような意識もあったの?

昭司:人の下につくのが性に合わなかった。

ISHIYA:睦もそうじゃん?

柳家:そうですね。ウチら世代だけでいるのが楽しかったっていうか。

ISHIYA:その前にもサイコビリーバンドはいたんだけど、盛り上がったのは睦なんかが出てきてからだし、それからシーンが出来上がったじゃん? なぜそうやろうと思ったのかな?

柳家:サイコビリーだけ格下って言ったら変ですけど、誰も知らないし、毎年毎年「サイコビリーって何?」って言われるから、じゃあ大きいのを何かやるしかないだろうって。それから「毎年言わなきゃいけないことなんだな」と思って。

ISHIYA(DEATH SIDE)

ISHIYA:昭司は『ICE PICK』、睦は『TOKYO BIG RUMBLE』っていう企画ライブをやっていて、それで定着させていったっていうのがあるよね。

昭司:ISHIYAだって『BURNING SPIRITS』やってんじゃん。日本は結局メディアで盛り上がってるのが一番凄いと思ってるような、そういう人種だから。でも今は何やってもいいからね。それはサイコビリーだろうがスキンだろうがハードコアだろうがさ。ISHIYAは何でハードコアを選んだの?

ISHIYA:最初は何でも良かったんだけど、音楽は好きでさ。それでハードコアパンクを聴いてライブに行ったら、とんでもない世界がそこにあったんだよ。「世の中にこんな場所があったのか!」みたいな。そのショックは未だに尾を引いてると思う。

昭司:まぁそうだよな。結構居心地良かったもんな。ハードコアパンクが源流っていえば源流だな。昔は選択肢がなかったよね。

柳家:俺が思うに、80年代は音楽を体験していた人数が今より純粋に多かったと思うんですよ。だから今になってみると80年代の音楽って、先輩たちだけの音楽なのかなって思うときがある。お客さんもみんなそうじゃないですか。そのまま底上げで。そういう背景があるから、シーンとしても変わらないのかなって。

昭司:それは新しくなった方がいいんじゃないの? 客的には。

柳家:でも、支えてるのは結局上の人たちですよ。お客さんとして来てる人も。うちの娘の友達なんか、バンドはそんなにかっこいいもんじゃないって言ってましたし。

昭司:うちの娘はバンド大好きだよ。その辺は若い子たちの中にも考え方が色々あるんだろうね。

柳家:昔は世代的に音楽をやっている人数も多かったし、変わり者の宝庫だったじゃないですか。それを見て自分もそうならなきゃいけないんじゃないかって思ったのが、もしかしたら僕ら世代が最後なのかもしれないですね。

ISHIYA:でもメタルは受け継がれていってるよね。俺らの前の世代にもメタルの人たちはたくさんいたし、俺らの下の世代でもメタルをやってるやつはたくさんいるわけで、メタルバンドってなくならない。

柳家:俺、メタルとロカビリーは様式美じゃないかと思ってるんですよ。普遍的なものであって、それを音楽にもファッションにも取り入れていくのが基本なんじゃないかなと。そういう様式美を重要視するようなところがロカビリーは全然変わってないですね。

ISHIYA:ハードコア界隈でも東京だと違う感じになっちゃうんだよね。モヒカンに鋲を打った革ジャン……とかじゃなくて、サウンドはハードコアだけど、ハーフパンツ履いて見た目は一般的みたいな。若い世代にはそういう人が多い。あとはポップ路線なパンクロックやメロコア的なところには若い子は多いけど。

昭司:それがハードコアだと思ってるやつらがいっぱいいるから。

ISHIYA:ハードコア好きな連中は、たぶん昔だとそういうところで怒ってたんだろうね。それでそういうバンドのライブを潰しに行っちゃったりする(笑)。そういうのが今はもうないからね。

柳家:そういう話にワクワクしてましたもん。やっぱ行くんだぁ~って(笑)。

昭司:そうだよね(笑)。

ISHIYA:俺もハードコアって呼ばれる中でライブをやってて、色んなライブに出てるけど、昔と違う感じにはなってる。ビートは速いし、ハードなリフとかサウンドで、確かにハードコアな音楽なんだけど、ハードコアな感じがしないんだよね。

昭司:お前が持ってるアイデンティティとまた違うんだよ。価値観が。

ISHIYA:俺はガキの頃に見た先輩方の、めっちゃめちゃな感じに憧れたんだよね。カッコイイなって思ったんだよ。

昭司:そういう人にはたぶん憧れないんだよ。今の人たちはしっかり未来設定してるからさ。パンクやってても食えるっていう世の中なわけじゃん。

ISHIYA:食える食えないが基本になっちゃってるのか。

昭司:将来的なことも考えて、それをやってても生活の足しにすることができるような感じでさ。

柳家:逆に今の若いやつらが凄いなって思うときもあるんですよ。俺ら世代から上の人たちは人数が多いからか、やり逃げの人が多くないですか? ちょっとかじって、都合のいいところで社会人になっちゃって。でも今の子たちは、生活の延長線上にバンドがあるるから。この前一緒にライブに出たアイドルは、年に200本ライブって言ってましたよ。それ聞いて、本当にある意味ハードコアだと思いましたね。そういうやつもいるから今の若いやつはシビアというか。

ISHIYA:常識的な人が増えたってことはあるのかな? 音楽とかバンド、不良文化の中にも。

昭司:音楽自体が不良の文化じゃなくなったってことだよな。

ISHIYA:サイコビリー、スキンズ、パンクなんて不良文化が音楽になったようなもので、それがないとその音にならないでしょ。

柳家:でも、その不良のまんまで行ってたら、シーンは無くなってたかもしれないですよ。みんなで殴り合ったりするのも、最初は本当の殴り合いでしたから。それをだんだん和気あいあいにしねぇと続かねぇよなぁってやってきたわけで。たまに好きな曲になると熱くなる子がいたりするのを見ると、まだこのシーンも捨てたもんじゃないなって気持ちにはなりますけどね。

ISHIYA:パンクでも、暴力が前ほど日常的じゃなくなったと思う。海外は元々音楽と不良文化が離れてたのかな? 音楽と最初から繋がってたのは日本だけな気はするんだよね。

柳家:『グッドフェローズ』っていうギャング映画では、時代時代の音楽が使われているんですけど、それぞれを不良の音楽として流してないんですよ。最後にはジミヘンがかかったりして。そういう映画とかの影響から音楽と不良が繋がっていくのかなって。

昭司:日本は元々演歌で、ハードコアやパンクはあとからきたものだからね。それが俺たちには合ってたんだよね。

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