嵐が『「untitled」 』で表現したかったこととは? 5人の言葉で語られた作品と向き合う姿勢

 嵐の16枚目のアルバム『「untitled」 』が、発売初日の推定売上枚数35.2万枚を記録し、10月17日付オリコンデイリーアルバムランキングで1位に輝いた。前作『Are You Happy?』を上回り、ウィークリーランキングの結果も期待できる幸先のいいスタートを切っている。

 本作は、初回限定盤と通常盤の2形態でのリリース。両形態ともに「Power of the Paradise」「I’ll be there」「つなぐ」のシングル3曲とアルバムリード曲「『未完』」、嵐初の組曲「Song for you」をはじめとした新曲10曲を収録。通常盤には、ユニット曲4曲とボーナストラック1曲が収録されている。コンセプチュアルな枠に収めることのできないバラエティに富んだ楽曲が揃えられており、“untitled”というタイトルが付されたのもうなずける。一枚のアルバムとしての完成度はもちろん高いが、なかでも筆者は「『未完』」「Suger」「夜の影」(松本潤・二宮和也・大野智)をかなり聞き込んでいる。これだけ豊富なテイストが揃った作品ということもあり、結果的に誰しもがお気に入りの一曲に出会えるような間口の広さを備えたアルバムにもなったのではないだろうか。

 初回盤にはDVDが付属されており、「『未完』」ビデオクリップとスペシャルメイキングを収録。そのスペシャルメイキングには5人のソロインタビューが収められており、5人それぞれの言葉と表現で、作品、そして嵐についての思いが語られている。

 松本は、デビュー15周年のタイミングにリリースされた『THE DIGITALIAN』以降の嵐の作風について語りながら、今回のアルバムについてのコンセプトを語っている。“untitled”には、少し余白を残した上で自分たちのパフォーマンスにチャレンジしたいという思いをこめているとのこと。生み出す過程を楽しみたい、飽くなき探究心の表れである。それと呼応するように、大野は「見えてない感じが意外と好き」、相葉雅紀は「ライブで披露した時にお客さんの声援だったり、一緒に歌ってくれたり、もう一つ楽器じゃないけど乗ってきて完成する気がするんですよね」と語り、ライブを経て完成するであろう『「untitled」 』の世界観への期待をのぞかせていた。

 櫻井翔は、ファンの間で発表時に大きな話題を呼んだユニット曲について語っている。嵐のアルバムではおなじみのメンバーソロ曲が今作には収録されていない。それに代わるものとして、ユニット曲を収録することにしたと明かした。定番化した取り組みについて、そもそもなぜそれが存在するのか。その方法でなければならない理由とは何かを今一度考える。嵐ではそれを“点検”と呼んでいるらしい。そういった確認作業を常にメンバー同士で行うからこそ、嵐は常に“最高”を更新し続けているのだろう。一方で二宮は、「(聞いてくれる人が)何を感じるのか。コンサートに期待感が出るのか、自分のお目当のユニットじゃないことに落胆するのか……こっち側、発信する側は多分、音楽で語ってんだと思うよ」とのコメントを残している。音楽と真摯に向き合ってきた二宮らしさを感じる言葉だった。

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