ベストアルバム『BEST THE BACK HORN Ⅱ』インタビュー
THE BACK HORNが語る、紆余曲折の歩みと未来「人生と照らし合わせることができるタイミング」
もっと極めた音楽を作っていきたい(松田晋二)
ーーなるほどね。新曲「グローリア」についても訊きたいんですけど、僕が思ったのはほんとにTHE BACK HORNが言ってきたこと、やってきたことの全部乗せで、さらに替え玉×4ぐらいの曲だなあということで。
松田:(笑)やっぱ「With You」、「あなたが待ってる」、「孤独を繋いで」っていうオリジナルアルバムに入ってない3曲がベストに入って、かつ新曲を入れることになり、個人的にはものすごくハードルが高いなと思ったんです。意識的に俺たちを総括する曲を作ろうぜって言ってできるもんでもないし、また『心臓オーケストラ』の頃みたく合宿に行って探し求めてっていうことでもない。とかいろいろ考えた時に、たまたま栄純が「グローリア」のデモを持ってきて、みんなのリアクションがすごいよくて。歌詞の書き方としてはたぶん栄純の中で、この曲ならではの寄り添いながらすぐ側で語ってるような部分とか、サビでは鼓舞するような言葉もあるんですけど。さっき「THE BACK HORNの音楽って何だろう」みたいな話があって、光舟が言った「どうしても自分たちの音になってしまう」っていうのもあるんだけど、特に2008年から今の10年っていうのは、自分たちから自覚的にTHE BACK HORNの世界を作り上げて鳴らすタームでもあるんですね。ライブに来るお客さんの顔とか、聴いてくれる人の顔を思い浮かべたりもしながら、とにかく巻き込もうっていう感覚が大きかった。そういう10年の歩みをこの「グローリア」がすべて物語ってる。ひょっとしたら結成した頃もこういうことを歌いたかったけど、照れだったり、そんなことも考えられないくらいいっぱいいっぱいだったっていうのもあって……。でもDISC-2の「何処へ行く」とか「泣いている人」を聴いたりすると、「グローリア」と一緒だなって思います。だから今回のベストがこの曲の居場所だなっていう感じはすごいしますね。
ーーしかもそれを「グローリア」と名付けてることの重要性ですよね。
松田:そこはどうなんですか、菅波さん?
菅波:それがミソだと思う。
松田:今までだったらタイトル会議で通ったか通らないかわからないよね。
菅波:そうだね、朝までみんなで考えて。
松田:ガマン比べみたいに。
菅波:ガマン比べだったの?(笑)
岡峰:寝たりしても「いや寝てない」って(笑)。
菅波:認めないっていう(笑)。マツが言ってたように、20周年のベストだからみたいなことを考えてたら、たしかに作れなかったかもしれないね。イメージとしては、俺けっこうベタな少年漫画とかドラマでヒーローが遅れてやってくる瞬間が好きなんですよ。仲間がめちゃくちゃ痛めつけられて、もうダメだ、敵がトドメを刺しに来た、その瞬間に「待て〜い‼」って扉が開き、後光が差してヒーローがやってくるみたいな。いまだにそういうシーンがすごい好きで。これもそういう曲になったらいいなと思って。バーンってTHE BACK HORNがやってきて全部倒す、カッケ〜みたいな。よくわかんないけど。
ーーいやほんとそれくらいの救世主感っていうか、救ってくれる感じはありますよ。
菅波:そこはTHE BACK HORNの一面でもあるかなって。頼りない部分もあるけど、いざという時には暴れるみたいな。
ーーうん、完全に同意ですけど、タイトルについては?
菅波:あ、忘れてた(笑)。でもまさにですよね。最初はそこまで意味がわかってないというか、聞いたことある言葉として名付けたんですけど。レコーディング中に将司と「グローリアってどういう意味だっけ?」って話になって、初めて調べたら「栄光」とか、人の名前としてもけっこう使われるっていうことがわかって、すごいぴったりだなと思いました。どっかで「全部乗せのこの曲にグローリアっていう名前を付けたのはバッチリだった」みたく書いてくれてたでしょ。それはほんとそうだなあと思ってます。
ーー結果的にそれだけの2008年からの10年、というか20年だったんだなあと感じるんですよね。
菅波:この紆余曲折ありすぎる俺たちの歩みと未来に対して、「栄光」と名付けるのは、なかなかいいかなあと思いますね。
ーーわかりました。「泣いている人<New Recording>」のMVを制作したことについてはどうですか?
松田:手応えはどうですか?
山田:だいぶありますよ。
岡峰:オシャレなんでしょ?
山田:自分の中ではね。
菅波:へえ〜、感動系じゃねえの?
山田:オシャレかつストイックかつ、シンプルで、ちょっとシュール。
松田:オシャレの解釈を訊いてみたい(笑)。こういうふうに描いたっていうところがオシャレ?
山田:う〜ん、引き算の仕方だな。すげえシンプルだから。
菅波:たしかにね。そこは自分の目で確かめてみてほしいですね。
松田:お客さんから「引きすぎてちょっとこれはわかりません」って言われても、「いやオシャレだから」っていうこだわりがあるってこと?
山田:いやオシャレはそんな推してないんだけど(笑)。処女作のわりには、これだけシンプルなサビの歌詞から全然ブレないで、こじんまりしちゃうこともなく、いいバランスで仕上げられたなと思ってます。
ーーなんか腕組んでアゴを手に乗せて語る感じが大御所監督っぽいですけど。
山田:これ人が困った時の心理状態を表す動作らしい(笑)。
菅波:そうなんだ(笑)。
山田:とにかく楽しみにしてて下さい。
ーー無理やりまとめましたね。それでは最後に、この先へ向けた心境を訊かせてもらってもいいでしょうか。
松田:20周年っていう冠があるからこそ、たとえば『イキルサイノウ』しか聴いてない人とか、なんなら最近聴き始めたお客さんとか、いろいろな人たちが混ざれるタイミングだと思うし、バンドがずっといてくれると「俺あの当時より成長したな」とか、自分の人生と照らし合わせることができるタイミングでもあると思うんで、みんなでTHE BACK HORNの20周年をある意味利用して、最終的にやっぱ音楽がある自分の道っていうのは最高だなって思ってもらえたらいいですね。俺たちももっと極めた音楽を作っていきたいし、そこで交わる人ももっと増えていくと思うし、そうやって進み続けていきたいと思ってます。
(取材・文=秋摩竜太郎/写真=稲垣 謙一)
■リリース情報
『BEST THE BACK HORN Ⅱ』
発売:2017年10月18日
TYPE-A[2CD+DVD]
BEST THE BACK HORN Ⅱ & エモーションピクチャー Vol.3
¥4,500(税抜)
TYPE-B[2CD]
BEST THE BACK HORN Ⅱ
¥3,200(税抜)
DISC-1
1.覚醒(17th Single/2008.5.21)
2.戦う君よ(18th Single/2010.4.21)
3.閉ざされた世界(19th Single/2010.8.4)
4.世界中に花束を(配信Single/2011.3.30)
5.シリウス(20th Single/2012.3.7)
6.シンフォニア(9th Album「リヴスコール」収録/2012.6.6)
7.バトルイマ(21st Single/2013.9.18)
8.シンメトリー(22nd Single/2014.2.19)
9.コワレモノ(22nd Single/2014.2.19)
10.ビリーバーズ(10th Album「暁のファンファーレ」収録/2014.4.9)
11.悪人(23rd Single/2015.9.2)
12.その先へ(23rd Single/2015.9.2)
13.魂のアリバイ(12th Album「運命開花」収録/2015.11.25)
14.With You(24th Single/2016.10.19)
15.あなたが待ってる(25th Single/2017.2.22)
16.孤独を繋いで(26th Single/2017.7.5)
17.グローリア(新曲)
DISC-2
1.ひょうひょうと(1st Album「人間プログラム」収録/2001.10.17)
2.声(14th Single/2006.12.20)
3.コバルトブルー(9th Single/2004.11.3)
4.赤眼の路上(3rd Album「イキルサイノウ」収録/2003.10.22)
5.扉(4th Album「ヘッドフォンチルドレン」収録/2005.3.16)
6.枝(6th Album「THE BACK HORN」収録/2007.5.23)
7.晩秋(Indies 1st Mini Album「何処へ行く」収録/1999.9.22)
8.ジョーカー(3rd Album「イキルサイノウ」収録/2003.10.22)
9.罠(16th Single/2007.11.14)
10.冬のミルク<New Recording>(Best Album「BEST THE BACK HORN」収録/2008.1.23)
11.美しい名前(15th Single/2007.3.21)
12.何処へ行く(Indies 1st Mini Album「何処へ行く」収録/1999.9.22)
13.上海狂騒曲(4th Album「ヘッドフォンチルドレン」収録/2005.3.16)
14.刃(Best Album「BEST THE BACK HORN」収録/2008.1.23)
15.泣いている人<New Recording>
16.無限の荒野<New Recording>
DISC-3
Music Video集「エモーションピクチャー Vol.3」
1.戦う君よ
2.閉ざされた世界
3.シリウス
4.世界中に花束を<New Recording>
5.シンフォニア
6.バトルイマ
7.シンメトリー
8.コワレモノ
9.ビリーバーズ
10.悪人
11.その先へ
12.With You
13.あなたが待ってる
14.孤独を繋いで
15.泣いている人<New Recording> ※監督:山田将司
Extra Video
1.戦う君よ(葛藤編)
2.戦う君よ(狂乱編)
3.戦う君よ(妄執編)
4.戦う君よ(鬱屈編)
4.戦う君よ(鬱屈編)
5.シンフォニア(1cut ver.)
■ライブ情報
『マニアックヘブンツアーVol.11』
11月03日(金・祝) 愛知 / 名古屋
GIG BOTTOM LINE
GALLERY BL café
11月05日(日) 宮城 /仙台
GIG Rensa
GALLERY 東京エレクトロンホール宮城
11月10日(金) 福岡
GIG DRUM Be-1
GALLERY DRUM SON
11月15日(水) 北海道 / 札幌
GIG PENNY LANE24
GALLERY ターミナルプラザことにパトス
11月26日(日) 大阪 / 梅田
GIG umeda TRAD
GALLERY バナナホール
12月01日(金) 香川 / 高松
GIG 高松DIME
GALLERY MONSTERS CAFE
12月02日(土) 広島 /
GIG / GALLERY 広島クラブクアトロ
12月22日(金) 石川 / 金沢
GIG 金沢AZ(ホール)
GALLERY 金沢AZ(スタジオ)
12月24日(日) 東京 / 新木場
GIG 新木場STUDIO COAST
GALLERY 新木場STUDIO COAST