新生・風男塾、“武道館宣言”と歴史を見せた10周年記念ライブ

風男塾、10周年記念ライブレポ

 午前中降っていた雨も上がり、“野音日和”となった10月7日。風男塾(ふだんじゅく)の10周年記念ライブ『FUDAN10KU LIVE 10th ANNIVERSARY in 野音』が開催された。

 ライブの冒頭には、10年間の歴史がまとまったVTRが流れた。このナレーションを務めたのは2014年に卒業したメンバー、武器屋桃太郎。こうして卒業メンバーが登場するという点も、風男塾らしさといえるだろう。ひと通りの歴史を振り返ると、現メンバー6人の紹介VTRへ。観客も沸き立ち、客席にはペンライトの花が一気に咲く。1曲目の「証−soul mate−」が始まった途端、大きな歓声があがり、瀬斗光黄の「ついに来たぞ、野音!」という声とともに「同じ時代に生まれた若者たち」へ。メンバーが口々に「叫べ!」「声出せ!」と観客を煽りながら、「七常の風器(2017 六常の風器 ver.)」、「男坂」と続く。「証−soul mate−」「七常の風器(2017 六常の風器 ver.)」はこのメンバーになってからの初披露ということで、会場のボルテージも天井知らずだ。

 「こんばん波! 俺たち、風男塾です!」というおなじみの挨拶をすると、愛刃健水、草歌部宙、仮屋世来音、藤守怜生、瀬斗光黄、紅竜真咲の順に自己紹介。愛刃の「皆さんの声が必要な曲ですよ! 盛り上がってくれますか!」の声を合図に、「17's STAR」、「人生わははっ!」、「BE HERO」、「With You」が次々と披露されていく。愛刃と瀬斗の美声、草歌部と紅竜のフレッシュさ、キレのあるダンス、観客との一体感、キュートな映像……と、新生・風男塾ならではの個性が詰まったステージだ。

 その後、瀬斗の「次は皆さんをドキドキさせてあげる」という言葉で始まったのは、人気曲・定番曲が詰まったメドレー。「チェンメン天国」、「Love Spider」、「野良猫マリア」、「もしも これが恋なら」、「Galileo〜プロキオンを越えて」、「男装レボリューション」、「チェンメン天国」という流れで、会場を盛り上げていく。

 メドレーが終わると。各メンバーが一番記憶に残っている企画を語るVTRへ。映像内には笑えるコメントや懐かしい映像も含まれており、客席は和やかな空気に包まれた。ステージ上にメンバーがいなくても楽しませる工夫は流石である。そして衣装チェンジをして再び姿を現したメンバーが披露したのは、アコースティックバージョンの「雨ときどき晴れのち虹」。しっとりとした雰囲気になると、ペンライトで虹を作るという有志のファンによるサプライズで、客席も含めて一つのパフォーマンスが成立していた。ペンライトのサプライズにはメンバーも驚いたようで、愛刃と瀬斗は「めっちゃキレイ!」「ありがとうございます!」「写真撮りたい」「緊張したけど温かい虹を見てすごく元気が出ました」と口々に感動を伝えていた。

 今年3月に赤園虎次郎と青明寺浦正が卒業したことで、結成当時からのメンバーが全員卒業したことになった風男塾。現在の6人には、それぞれ初めて参加したCDとなる“デビュー曲”が存在する。ここからは、各メンバーのデビュー曲メドレーだ。仮屋世のデビュー曲となる「瞬間到来フューチャー」、藤守の「NOIR〜ノワール〜」、愛刃の「風一揆」、瀬斗の「無敵!夏休み」、そして11月15日発売の10周年記念シングルであり草歌部と紅竜のデビュー曲ともなる「新たなる幕開けのための幕開けによる狂詩曲〜キミがいればオレたちも笑顔∞〜」。パフォーマンスの後ろには、各メンバーのデビュー当初の映像も放映。メンバーたちのこれまでの歴史を感じられるセットリストであった。

 そして、いよいよラストスパート。仮屋世の「今日という日を忘れないように帰ろうぜ!」から始まったのは、「下を向いて帰ろう」。銀テープも飛び、この日一番の盛り上がりを見せていく。ラストは「希望の夕陽が燃えている」。大サビ前の<WOW……>では、会場全員での大合唱が起こった。

 メンバーは「皆さんありがとうございました!以上、風男塾でした」と元気にステージを後にしたが、間を置かずアンコールが鳴り響く。確かに、まだまだ物足りない。そんなファンの気持ちが伝わったのか、すぐさまステージに姿を見せてくれたメンバーたち。そして、10周年を迎えられた感謝を伝えるかのように歌われた「絆」へ。一人ずつ今回のライブに寄せる思いを語り、最後の最後には「風男塾、武道館に立つぞー!」と次なる野望を宣言。その後「いい男」を披露し、会場は笑顔と感動の涙に包まれた。曲が終わり、すっかり笑顔が戻ったメンバーたちは「またお会いできるのを楽しみにしてます! それでは最後に、風っばーい!」といつもの挨拶をし、10周年ライブの幕が閉じた。

 多種多様の魅力を持つ風男塾だが、今回改めて感じたのは、彼らの楽曲に込められたメッセージ性の強さ。ファンに向けての応援歌に聴こえ、紆余曲折の歴史を辿ってきたアイドル・風男塾だからこそ出せる魅力がそこにはあった。10周年はまだまだ彼らにとって通過点であり、風男塾はより愛されていくグループになる。そう確信できた一夜だった。

(取材・文=高橋梓)

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