岡崎体育、ミセス大森元貴、フレンズひろせひろせ……楽曲提供でも光る若手アーティストたち

大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)

 10代・20代からカリスマ的な支持を受けている5人組バンド、Mrs. GREEN APPLEのフロントマン・大森元貴は、音楽家としてもこの世代で突出した能力とバランス感覚を持った稀有な存在だ。長年活動をともにした同バンドのギタリスト・若井滉斗も「大森は曲を作る時、頭のなかで鳴ってる音をそのまま落としこむタイプなんで。『ギターでこの音鳴らせるのか?』と思うようなアレンジをデモで入れていたり」(http://realsound.jp/2016/02/post-6324.html)と証言しているように、バンドでは大森が直感的に作った曲を理論的に他のメンバーが組み立てていくという。そんな彼の作るポップスは、洋楽ポップバンド的なフレージングや譜割り、楽器の使い方と、高速化・過圧縮化した現在のJ-POPをハイブリッドに混ぜ合わせたテンポ感が心地よい、中毒性の高い楽曲が多い。

夢みるアドレセンス 『恋のエフェクトMAGIC』YouTube Ver.

 それは彼の提供曲にもいえることで、夢見るアドレセンスの8thシングル表題曲として書き下ろした「恋のエフェクトMAGIC」は、一聴するとただの主流なアイドルソングにも思えるのだが、聴けば聴くほどカラフルな音使いやコーラスワーク、エフェクトに選んでいる音色の選択などが抜群に上手いことを思い知らされる。サビで同じフレーズが何度もリフレインする箇所でも、ところどころで声の使い方を変えていたりと、遊び心も盛り込まれた名曲だ。次の展開としては、私立恵比寿中学の11月にリリースするシングル表題曲の書き下ろしも発表されており、音楽作家としてもメインストリームの真ん中に躍り出ることになるだろう。

 自身のアーティスト活動以外にも楽曲提供という形で才能を発揮する若きアーティストたち。彼らのような存在こそが、日本のポップシーンの発展における重要な役割を担っている。

(文=中村拓海)

※記事初出時、一部情報に誤りがございました。訂正してお詫び申し上げます。

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