『SATANIC CARNIVAL’17』ライブレポート パンク/ラウドシーンは、成熟期からさらなる拡大へ

『SATANIC CARNIVAL’17』レポート

 そして、2日目の「SATAN STAGE」のスタートを飾ったのは04 Limited Sazabys。今年2月に日本武道館公演をやり遂げた彼ら。「世代交代の時期が来たぞ!」とRYU-TA(G/Cho)が叫び、SiMに続いてフォーリミも上の世代に牙を剥くMCを放ち、午前11時から観客を興奮のるつぼ化させる。それからCrossfaith、RIZE、KEMURI、MONGOL800と続き、HEY-SMITHは「パンク・ロックは好きですか?」と猪狩(Vo/G)が呼びかけ、この場でMV解禁と同時に新曲「Let It Punk」を初披露。自分の気持ちに正直に、感情を解き放て! というメッセージが一段と音を強化させているよう。何も制御せず、伸び伸びと演奏する陽性のバイブで観客を笑顔にさせていた。Fear,and Loathing in Las Vegasはエレクトロとラウドを融合させた演奏で天井知らずのテンションを大放出し、オンリーワンのオリジナリティをここでも見せつける。さあ、最終日・2日目のトリはピザの秘蔵っ子・WANIMAの登場だ。今年3月にさいたまスーパーアリーナ公演で初ワンマンを行い、とてつもないスピードで駆け上がり中だ。KENTA(Vo/B)の歌心と3ピースの演奏が一枚岩となり、観客の心を鷲掴みにする死角ナシのパフォーマンスに心底感動した。

 2日目の「EVIL STAGE」は初出演のa crowd of rebellionが奮闘。人気も右肩上がりで、ラウドシーン期待の星と言っていい。カオティックな演奏を振りかざす、スクリームとクリーンの対照的なツインボーカルも素晴らしい。これからさらに期待したい注目バンドだ。それからSLANG〜打首獄門同好会という流れも「SATANIC CARNIVAL」ならではの振れ幅であり、夕方からトリ前にかけてのlocofrank、HAWAIIAN6、GARLIC BOYSの流れも最高。特にGARLICは約2年ぶりの復活にして初出演となり、「YOKOZUNA」、「あんた飛ばしすぎ」と名曲を散りばめたセットリストで、涙と笑いの激越人情パンクを叩き付けた。トリはG-FREAK FACTORYが務ることになり、ヘヴィかつグルーヴィーなドレッドロックで会場を掌握する。熱く語りかける茂木(Vo)のMCもショーの一部と化し、オールドルーキーの生き様を見せつけた。

 ひっきりなしに爆音が轟いた2日間。ベテラン、中堅、若手が切磋琢磨する『SATANIC CARNIVAL』の層の厚さを目の当たりにして、またここから新しいバンドや若い観客が参入し、このシーンはさらに大きくなっていくに違いない。そんな期待がより一層膨む2日間だった。ヘドバン、モッシュ、スカダンス、2ステップがあちこちで繰り広げられるイベントはそうない。是非、来年も開催してほしいものだ。

(文=荒金良介)

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