PIZZA OF DEATHが作り上げた“シーンを繋ぐ場所” 世代差越えたパンク/ラウドの祭典レポート
PIZZA OF DEATH RECORDSが主催する音楽フェスティバル『SATANIC CARNIVAL'16』が6月4日、幕張メッセ・国際展示場9-11ホールにて開催された。3回目となる同フェスは、開催初年度から“PIZZA OF DEATHのものではなく、シーンのイベントにしていきたい”(SATANIC CARNIVAL'14 | SATANIC ENT)との宣言通り、それぞれのシーンで名を上げるパンク/ラウドロックバンドと、そのファンが各地から集結した。
例年、会場には“PIZZA OF DEATH”と背中に書かれたお馴染みのバンドTシャツを着た観客を多く目にしていたが、今年は出演するアーティストの様々なバンドTシャツを着たファンも多く、同フェスのシーンへの広がりを強く感じた。また、会場にはメインとなる「SATAN STAGE」と反対側に「EVIL STAGE」が設けられ、両ステージを挟んだ中央の空間には、写真展示を見ながらカメラマンと会話を楽しむ人や、ボルダリングを体験する人たちで賑わっていた。音楽だけでなく、イベント自体を最大限に楽しもうとする来場者の姿が見られたのもSATANIC CARNIVALらしい光景だ。
今年のSATAN STAGEは、WANIMAのKENTA(Ba/Vo)による「SATANIC CARNIVAL'16、WANIMA、開催しまーす!」という開催宣言で幕を開けた。KENTAが「寝不足じゃない? 大丈夫? ちゃんと起きてる?」と尋ねるまでもなく、1曲目から観客のノリノリの掛け声が響き渡った空間は、朝一番のステージとは思えないほどの活気で溢れていた。KENTAが、笑顔で何度もガッツボーズを向けると、地元・熊本の祖父に向けて作った「1106」を歌い上げ、先日震災に見舞われた熊本にエールを送る姿も。WANIMAは、「SATANIC!」という言葉を時折り歌詞に混ぜ、歌のパートを観客のシンガロングに託すなど、観客と笑顔を向けあったステージを作り上げていた。
一方、EVILE STAGEでは、昨年復活を遂げたジャパハリネットが登場。「It's a human road」から、懐かしい青春ソングが続くと、再結成後、初の新曲となる「リフェ」を披露。今日の出演を「不安だらけだった」と話していた城戸けんじろ(Vo)だったが、「バンドの一覧表見たらバンド名カタカナなの俺たちだけだし(笑)。再結成1年目の新人バンドです、よろしく!」とジョークを飛ばしつつ、彼らの音楽を鮮やかに鳴らした。続くDizzy Sunfistは、「ハイスタ育ち、Dizzy Sunfistです!」とバンドのフレッシュさとは裏腹に、 パンクシーンに果敢に攻め込んでいくかのような驀進型のライブを披露。
AA=がデジタルハードコアの尖ったサウンドを会場に流し込むと、歓声が次々に上がり、直前までメロコア・パンクの熱気で充満していたフロアの空気を一変させた。その裏では、初登場のMONOEYESが爽やかなギター・ロックを奏で、続くHEY-SMITHが、昨年の出演オファーを活動休止で悔しくも断り、ステージに立てなかったと告白。猪狩秀平(Gt/Vo)は、「迷っとったけど、パンクの力信じてよかった」と語り、目一杯の「Come back my dog」を鳴らすと、フロアは熱狂的な歓声でそれに応じた。
そして、SATAN STAGEに現れたのは、究極の生命体・MAN WITH A MISSION。イントロが聴こえた瞬間、歓声が湧いて始まったのは「Get Off of My Way」。曲のサビでは、Jean-ken Johnnyの「カカッテ来ナサイ!」という合図で、一斉に観客が両手を振りながら踊り出し、笑顔が広がった。Jean-ken Johnnyは「仲間ニ入レテモラエテ、光栄デス」と初出演の喜びを表すと、「人間ゴトキガ、狼ニ勝テルト思ッテルノカ! 貴様ラ!」と言い放って激しいライブを繰り広げ、10-FEET・TAKUMA(Gt/Vo)と共に『database feat.TAKUMA(10-FEET)』を披露、より一層フロアを熱狂させた。