Theピーズの日本武道館はハイライトの連続だったーー“生きのばし”てきた30年とこれから

Theピーズの日本武道館はハイライトの連続だった

 下北沢屋根裏にて初めてライブをやった日からぴったり30年の2017年6月9日金曜日に開催された、Theピーズ『30周年日本武道館』は、本当に、掛け値なしに、「ここまでか!」とか言いたくなるほどの、大成功に終わった。あの時あの場にいた人でそう実感しなかったのは、よっぽどひねくれているか、よっぽどこのバンドに対してめずらしいことを期待していた人だけではないか。

Theピーズ日本武道館は、なんのために行われたのか、そしてなにゆえに大成功したのかを考えるの画像1

 発売と同時にワッと6000枚くらい売れたが、そのあとは動きが鈍くなっていたチケットは、武道館の週に入ったくらいですごい勢いで伸び始め、日付が6月7日から6月8日に変わったあたりですべてのプレイガイドで「×」が出た。

 翌朝、スタッフはキャンセル分をかき集めるなどして再度発売したが、それも6月8日18時には売り切れ。6月9日、主催のヴィンテージロックは、ステージ設営が完了したあとで当日券用座席を大量確保(つまり、ステージを組んでみるまで見えるかどうかわからないので前売りできなかったスペースということ)。メール予約のシステムも整えて当日券を出したが、それも完売。なんと200枚以上売れたという。「ギリギリまでチケット余ってる」「でも寸前になるとダーッと売れる」というのは、Theピーズに限らずベテランライブハウスバンドあるあるだが(フラワーカンパニーズもそうです)、にしても、当日券200枚というのはかなり常軌を逸している。

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 平日にもかかわらず、午後イチあたりから武道館の周囲を大人たちが取り囲み始め、物販に長い長い列ができる。武道館の中の売店はもちろん、近辺のすべてのコンビニでアルコール類が完売。大集結した仲間・後輩のミュージシャンたちは「酒がない!」「ピーズの武道館を酒なしで観ろってか!」「どうすればいいんだ!」とパニックに陥り、たまに持ってる奴がいると周囲からすがりつかれ、1本の缶ビールが大勢のバンドマンの間をひと口ずつ減りながら回っていくという「砂漠かここは」みたいな事態になっていたという。

 と、その1缶を提供したフラワーカンパニーズのギタリスト、竹安堅一さんからききました。自分は武道館前に居酒屋一軒経由した上に、水筒に白ワインを入れて持ち込んでいたので、缶ビールを人にあげる余裕があったそうです。目に余る、用意周到さが。

 まあ、酔いどれ曲だらけのバンド、それがTheピーズだからなあ、と納得するが、でもはるさん、5年くらい前に酒やめてるよ? とも、思わなくもない。

 まず結成から現在までの30年をふり返る映像が流れ、SEで「Brazil」(Oswaldo Pintoの曲。ビールのCMとかで使われているあれです)がかかり、3人がなぜかドリフのヒゲダンスで現れ、そのまましばしステージをウロウロ踊り歩いてしてから、配置につく。

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 はるの「いぇいいぇいいぇいいぇいいぇい! (客席を見て)ヤバいねえ! じゃあそろそろいこうか。Theピーズ30周年、おめでとうございまーす! ありがとーう! 30周年祭り始まるよー!」という言葉から「ノロマが走ってく」でスタートした、二度のアンコール合わせて全35曲、3時間弱に及んだステージは、本当に、どこを抜き出して書けばいいか困るほどの、ハイライトの連続だった。

 2曲目「とどめをハデにくれ」で、はるは<最低だ 最低だ 最低だ>を<最低だ 最低だ 最高だ>と変えて歌った。この日に限ったことではなく、日比谷野音なんかの大きなライブではよくこう変えるんだけど、武道館だと格別にリアルに響く。

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大木温之

 続く3曲目、<やっとこんないいとこまで辿り着いてしまった はあ お疲れさんだよ>という歌い出しの「鉄道6号」の前には「たまんないねえ、ヤバいよお」と漏らし、次の「焼めし」のイントロのリフをアビさんが弾き始めると「こういうことするの、この曲だけだからねー」と腕を左右に振りながら歌い始め、オーディエンスもそれに従う。

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