小野島大が選ぶ、エレクトロニック・ミュージックの“知られざる”新作9選

 先日リアルサウンドでも紹介したナカコーこと元スーパーカーの中村弘二の随時更新のプレイリスト・プロジェクト「Epitaph」が本格スタートしています。現在は4曲がアップされてますが(曲名の横の日付は曲が完成した日でしょうか)、今後も焦らずゆっくりしたペースで更新していくようです。音は現在のナカコーの興味であるアンビエント〜ドローンとかエレクトロニカとか。1年後2年後にどんな形に育っているか。楽しみですね。

ジェイリン、ラムサ、ローレル・ヘイロー……小野島大が選ぶ知られざる洋邦新譜9選の画像7
ニック・ホップナー『Work』

 ニック・ホップナー(Nick Hoppner)は、ドイツ・ハンブルグ在住のDJ/プロデューサー。2年ぶりとなる2枚目のアルバムが『Work』(Ostgut Ton)です。アーティストとしてのリリース経験はまだ13年ほどですが、音楽ジャーナリスト、レーベルA&Rなど裏方経験も長く、ドイツのアンダーグラウンドなディープ・ハウス・シーンを表裏から長く支えてきた中心人物です。インタビューの受け答え等を見ても知的でバランス感覚に富んでいるようで、それはこのアルバムにもよく表れています。メロディアスで柔らかい王道のハウス・ミュージックと、ディープでダビーな新感覚の現代のハウスのミクスチュアが巧みで自然です。トラックのクオリティも高く楽曲もよくできています。

Nick Höppner - All By Themselves (My Belle)
Nick Höppner - The Dark Segment
ジェイリン、ラムサ、ローレル・ヘイロー……小野島大が選ぶ知られざる洋邦新譜9選の画像8
シークレット・ヴァリュー・オーケストラ『Unidentified Flying Object』

 シークレット・ヴァリュー・オーケストラ(Secret Value Orchestra)はパリの3人組で、この『Unidentified Flying Object』(D.KO Records)は、ファースト・アルバムですが、メンバーはそれぞれパリのダンス・シーンではキャリアのある人たちです。優雅で洗練されたオトナのハウス〜ファンク〜R&Bで、ムーディマンなどに通じる黒光りするディープ・ハウスからジャミロクワイみたいなダンス・ポップ、フュージョンにも通じるジャジー・ブレイクスまで、特に新しいことはやってませんが、そのファンキーでありながら泥臭くならないソフィスティケイトされたグルーヴは幅広い支持を得そうです。

 

 ではまた次回。

■小野島大
音楽評論家。 時々DJ。『ミュージック・マガジン』『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』『ナタリー』『週刊SPA』などに執筆。著編書に『ロックがわかる超名盤100』(音楽之友社)、『NEWSWAVEと、その時代』(エイベックス)、『フィッシュマンズ全書』(小学館)『音楽配信はどこに向かう?』(インプレス)など。facebookTwitter

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