MONDO GROSSOら新作に感じるポップミュージックの可能性 “再構築”で生まれたサウンドを聴く

UNCHAIN『from Zero to “F”』

 結成20周年を超え、“Zeroからの挑戦”をテーマに制作されたというUNCHAINの9thアルバム『from Zero to “F”』。本作における最大のトライアルは、LAのトップライナー(トラックのグルーヴを活かしたメロディを制作、シンガー、バンドなどとコライトするクリエイター)Davey Nateとのコラボレーションによる「Fresher」「Back to Zero」。ここ数年の世界的潮流であるネオ・ソウル、ディスコ回帰の流れを汲みつつも、生々しいバンドサウンドとエレクトロ的なエディット感を融合させたこの2曲は、UNCHAINの新機軸であると同時に、このバンドのルーツにも根差している。結成当初から、ソウル、ジャズ、ファンクなどの要素を取り込んできたUNCHAIN。生楽器のグルーヴを活かした昨今のダンスミュージックのトレンドは、彼らの本来の音楽性ともしっかり結びついているのだ。

UNCHAIN「Dangerous」
SHE IS SUMMER『Swimming in the Love E.P.』

 元ふぇのたすのボーカリスト、MICOのソロプロジェクト・SHE IS SUMMERの2nd E.P.『Swimming in the Love E.P.』には、既にライブで披露され、ファンの間で支持の高い楽曲を収録。同じく元ふぇのたすのヤマモトショウと歌詞を共作したエレクトロ・ポップ「出会ってから付き合うまでのあの感じ」(何て良いタイトルなんだ!)、さらにフレンズのひろせひろせの作曲による疾走感たっぷりのポップチューン、注目のAOR系バンド・evening cinemaの原田夏樹が手がけた80sアイドルポップ風ナンバー「うしろめたいい気持ち」など“恋の始まり”をテーマにした楽曲が並ぶ。MICOのフェミニンな歌声もさらに充実。いまの日本のシーンにおける最も良質なポップネスがここにある! と言いたくなる、素敵すぎる新作である。

SHE IS SUMMER「あれからの話だけど」

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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