森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.51
tofubeats、SALU、ぼくりり……海外トレンドにもコミットする独創的なサウンドを聴く
ファッション、音楽、パフォーマンスを高いレベルで融合させたボーイズ・グループとして支持を強めているXOXの4thシングル『High School Boo!』。表題曲「High School Boo!」は元*NSYNCのJC・シャゼイが作曲に参加したダンス・ポップ・チューン。ここ数年の海外ポップシーンのトレンドであるネオ・ファンク、ネオ・ソウル系のサウンドを前面に押し出し、<寝ても覚めても君に夢中で>という歌詞を組み合わせることで、2017年の潮流をしっかり捉えたアイドル・ポップに結び付けている。大瀧詠一が「分子分母論」で示唆している通り、もともと日本のポップスは、洋楽のテイストを取り入れ、その上に和の要素を乗せることで成り立ってきたーーということを改めて認識させてくれる佳曲。
90年代のアシッドジャズ、R&Bなどをルーツにしたバンドサウンド、英語と日本語をナチュラルに結びつけるボーカルによって、シティポップ・ブームの枠を超え、幅広いリスナーに浸透しつあるNulbarichの1st EP『Who We Are』。リードトラックの「It’s Who We Are」はファンキーなカッティング・ギターにリードされたダンサブルなナンバー。徹底的に洗練されたコード構成と生き生きとしたグルーヴを放つバンド・アンサンブルのバランスが素晴らしく、ただひたすら気持ちよく浸ってしまう。80年代のAORを思い起こさせる音像とゆったりしたバイブレーションが印象的な「Ordinary」も絶品。気分が良くて何が悪い、と言いたくなる充実作だ。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。