DEATH SIDEがPISSCHRIST、TEAR GASと共演果たした夜ーーISHIYAのメルボルンライブレポ

DEATH SIDEメルボルンライブレポ

 その後朝までも続きそうなアフターショーがすぐに始まったが、宿泊先のPHILは運転もあり飲めないため、途中で帰宅。翌日はPISSCHRISTに加え、一回だけの再結成をしてくれる友人でもあるTEAR GASも出演してくれる。会場も前回のFORWARDでも出演したBENDIGO HOTELで、オーナーもバーテンダーも知っているので、心置きなくオーストラリアラストライブが堪能できる。

 翌朝目がさめてからPHILの家の裏庭で過ごしていると、みんなで昼食を食べようとYEAPから連絡があり、ダウンタウンにあるベトナム料理店へ。オーストラリアにはアジア系の人種も多く、オーガナイザーのYEAPもマレーシアから移民してきた人間だ。そのためアジアンフードも多く、日本料理でも美味しいラーメン屋などがあり、食に困ることは無い。色々な人種が雑多に存在している環境というのは、非常に素晴らしい面が多いことに気づかされる。争いさえしなければ、お互いにとって有益なことは多い。色々な国に行くたびに良い面、悪い面の双方を実感するが、オーストラリアは、来る度に良い面が多く感じられる。日本人やアジア人の体質に合う国なのではないだろうか。

 この日の会場であるBENDIGO HOTELは、名前の通り会場はホテルになっていて、1階にバーとライブ会場、中庭の喫煙スペースがあり、2階がホテルになっている。オーストラリアの街中では、ホテルと名乗っている店やバー、レストランなどを多く見かけるが、ホテルとしては営業していない店が多い。聞いたところによると、昔のオーストラリアではホテル以外で酒の提供ができなかったらしく、今でもその名残りでホテルと名乗る店が多いようだ。この日の会場であるBENDIGO HOTELは、ホテルにはなっているが、ドミトリーのような部屋で2段ベッドが備え付けられている4人部屋がメインで、シャワーやトイレは共同になっている。前回も世話になった店で、今回もここに泊まることになっている。ライブ会場の上に宿泊施設があるのは非常に便利で助かるので、ぜひ日本でも普及してほしいものだ。

 サウンドチェックを終え、友人たちと交流していると、前日にも増して続々と観客が集まり始める。確かにメインはDEATH SIDEではあるが、やはりPISSCHRISTとTEAR GASが出演することが、観客が集まる大きな要因であることは間違いない。筆者もTEAR GASとの共演を非常に楽しみにしていた。

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TEAR GAS(写真=メンバー撮影)

 トップのガールズパンクバンドが終わる頃には、会場は人の海。中庭の喫煙スペースで座ることもままならない状態だ。昨日に続く大盛況で、嫌が応にも気合いが入る。シドニーの友人も新しいバンドをやっていて、現在のオーストラリアシーンも感じられた。そしてTEAR GASの演奏が始まった。オーストラリアの観客も楽しみにしてたようで、最高の盛り上がりでフロアではモッシュピットができあがっている。懐かしい曲では観客も声をあげ歌い、久しぶりの演奏とは思えぬ迫力のステージングは、さすがTEAR GASと唸らせてくれた。ライブ後に、ギターのGeordieが「TEAR GASは DEATH SIDEに影響を受けて始めたバンドなんだ。一緒にやれる日がくるなんて夢にも思わなかった」と、初めて聞く話までしてくれた。そんな思いが詰まった今日という日の素晴らしさを実感する。

 そしてPISSCHRISTも圧巻のステージ。前方まで観に行くことができないほどの盛り上がりで、前日より盛り上がっていたのでは無いだろうか。今回のPISSCHRISTのライブは、オーストラリアハードコアの素晴らしさが全面に出ており「凄い!」の一言に尽きるほどの迫力のパフォーマンスだった。DEATH SIDEのためにここまでしてくれたYEAPの思いは全て受け取った。あとは俺たちが返す番だ。

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BENDIGO HOTELでのライブ(写真=NATSUMI ARAKAWA)
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BENDIGO HOTELでのライブ(写真=NATSUMI ARAKAWA)

 前日に来られなかった観客も多かったようで、出番前の会場内の雰囲気は最高潮に盛り上がっている。超満員の観客の前に立ち、演奏が始まった瞬間、客席は異様な盛り上がりを見せる。前日に比べ疲れもないメンバーの演奏も素晴らしく、観客に伝わっているのがわかる。CHELSEAのギターを再現するORIと弁慶の演奏に酔いしれる観客は、狂ったように暴れまわっている。どこの国に行っても、こんなに盛り上がってくれるとは、再び活動を始めたことに間違いはなかったと実感する。

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ライブ中客席で渡されたビールを飲む筆者(写真=NATSUMI ARAKAWA)
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客席で歌う筆者(写真=NATSUMI ARAKAWA)

 
 客席から渡されたビールのボトルを2本同時に一気飲みすると、観客も喜んでくれ、さらにライブはヒートアップし、アンコールまで含めた全曲があっという間に終わった。あまりに盛り上がったため、ライブ終了後飲みすぎてしまい、翌日昼飯も食べに行くことができずに一人ホテルでダウンしていたほどだ。

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終了後外の観客BENDIGO HOTEL前(写真=NATSUMI ARAKAWA)

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