鹿野 淳に聞く、音楽フェスの現状と可能性「ロックミュージックを今の時代なりに位置づけたい」

鹿野 淳に聞く、音楽フェスの現状と可能性

「音楽オフ会が、こういう現場でももっとあれば」

――わかりました。そして、もう一つVIVA LA ROCKの他のフェスにない特徴ですが、「オトミセ」というユーザー参加型の音楽同人マーケットの企画を初年度から開催していますよね。この現状についてはどう捉えていますか?

鹿野:これに関しては、なかなか活性化しないという感じです。もちろん、参加者の問題ではなく、僕のプロデュースが下手だからなんですけどね。参加者はびっくりするほどいい人たちばかりで、あそこに行くと本当に心があたたまりますよ。

――でも、実験の場、投資分野としてこれをやる意味があるということをずっと思っている感じですか。

鹿野:いや、投資ではなく、音楽フェスの役割だし、あの同人エリアは立派な音楽シーンそのものだと思います。だけどもし今年やってみて、実感がいつもと同じくらいだと思ったら、来年ちょっと手を打とうと思ってます。廃止するのではなく、抜本的に参加者へのレギュレーションを変えるということです。

――僕はVIVA LA ROCKに足を運んで、オトミセがどのように変化してきたかを毎年チェックしてきたんですね。そこにおいて感じていることを忌憚なく言うと、当初は「M3」のような同人音楽の即売会をフェスの場に作ろうという意図があったと思うんです。ただ、回を重ねるごとに、音楽それ自体を作って売る人よりも、アクセサリーやグッズを売る人の方が増えているし、そういう人が来場者とのコミュニケーションをとれている。

鹿野:本当にそうなんだよね。

――ただ、僕は、特にこういうユーザー参加型の場に関しては「起こったことが正しい」と捉えるようにしているんです。ということは、VIVA LA ROCKにくる人たちにとっての「オトミセ」は、音楽それ自体だけじゃなく、アートやデザイン、ファッションを通じて音楽を表現する人、それをもとにコミュニケーションをとりたい人も集まる場所という風に意味合いが変わってきている。

鹿野:全く同感です。だからあそこにもシーンがあるということだと思います。現実的に音楽フェスってグッズがすごく売れますよね。CDよりもシャツやタオルの方が遥かに売れる。VIVA LA ROCKもびっくりするほどすごくグッズが売れるんですよ。出版社経営者としては、だったら雑誌も買って読んでもらえないかな? と思うんですけど(笑)。それとリンクしてる話なんだなと、今の話を聞いて思います。そのことはこれから考えなくちゃいけないなと思うんだけど、僕は今のオトミセに対して思っているのは、あれは音楽オフ会なんですよね。

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『VIVA LA ROCK 2016』GARDEN STAGE

――オフ会というと?

鹿野:オトミセに出る人たちは、自分の音楽観っていうものを持ってる人たちで、それを聴くだけじゃなくて、なんらかの方法で形にしている人たち。でも孤独なんですよ、みんな。つまり、音楽好きで、学校でも会社でも同じレベルにいる人がいない人たちが、この場所だとそういう仲間と出会える。そこに価値があるんだと思うんです。だから、音楽オフ会だなと思ってたんだけどね。そういう現場って、所謂オタク社会だけではなく、こういう現場でももっとあればいいですよね。

――まさにそうですね。そして加えて言うならば、そういう意味ではオトミセはまだこの先に可能性があると思っています。というのは、今のオトミセは言ってしまえばデザインフェスタとM3のあいのこのような場所になりつつあると思うんです。特に、ロックという音楽が好きで、アートやアクセサリーを通してそれを表現したいような人にとっては、M3やコミケは場としてそぐわない。あちらは同人文化の色合いが濃いですから。一方で、デザインフェスタに出展してもそこでは音楽好きに出会えない。

鹿野:その通りだね。すごく勉強になります。

――そういう意味で、あの場所に育っているコミュニティーは、他の場にはなかなかないものだと思うんです。

鹿野:ありがとうございます。あそこに出店してる人たちと年に1回バーベキューをやるの。だから、その感覚はすごくわかる。

――なので今年から「自主音源や音楽系アクセサリーや衣装など、音楽にまつわる表現をする方々が集まる場所をご用意しています」と公式HPで打ち出したのは、とても意味のあることだと思います。

鹿野:これまでは判断基準が難しかったんだけれど、何年かやってわかってきたんです。だから、来年に向けてもっと方向性を明確にしていくべきだ、ということだよね。ありがとう、とても参考になりました。

(取材・文=柴那典)

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■イベント情報
『VIVA LA ROCK 2017』
公演日:2017年5月3日(水・祝)、4日(木・祝)、5日(金・祝)
会場名:さいたまスーパーアリーナ
開場/開演/終演:9:00/10:30/20:30(予定)
出演アーティスト (50音順):
5月3日(水・祝) 出演アーティスト
アルカラ / THE ORAL CIGARETTES / KANA-BOON / KEYTALK / クリープハイプ / Getting Better(片平実/神啓文/斎藤雄)(NEW!) /go!go!vanillas / SHISHAMO / SiM / SUPER BEAVER / パノラマパナマタウン / 04 Limited Sazabys / BRADIO / BLUE ENCOUNT(NEW!) / フレデリック / Base Ball Bear(NEW!) / PELICAN FANCLUB / ポルカドットスティングレイ /yonige / LAMP IN TERREN / LEGO BIG MORL / Lenny code fiction(NEW!) ..and more!!

5月4日(木・祝) 出演アーティスト
雨のパレード / Creepy Nuts(R-指定&DJ松永) / Gotch & The Good New Times / サカナクション / Suchmos / シンリズム / 水曜日のカンパネラ / SKY-HI / 菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet) / SPECIAL OTHERS / cero / DADARAY(NEW!) / D.A.N. / DJピエール中野(凛として時雨)(NEW!) / DJやついいちろう(エレキコミック)(NEW!) DENIMS / 東京スカパラダイスオーケストラ / VIVA LA J-ROCK ANTHEMS / フレンズ / THE BAWDIES / ぼくのりりっくのぼうよみ / yahyel / UNISON SQUARE GARDEN / lovefilm ..and more!!

5月5日(金・祝) 出演アーティスト
Ivy to Fraudulent Game / ACIDMAN / 175R / UVERworld / 打首獄門同好会 / Age Factory / ENTH / Ken Yokoyama(NEW!) / G-FREAK FACTORY / DJダイノジ(NEW!) / 10-FEET / Dragon Ash / NUBO / 爆弾ジョニー(NEW!)
the band apart / BIGMAMA / HEY-SMITH / Bentham / My Hair is Bad / MONOEYES / MOROHA(NEW!) / ヤバイTシャツ屋さん / ROTTENGRAFFTY / LONGMAN ..and more!!

主催:(株)FACT/(株)ディスクガレージ
企画・制作:(株)FACT/(株)ディスクガレージ/さいたまスーパーアリーナ
特別協力:SVOLME/イープラス/ファミリーマート
後援:埼玉県/さいたま市/テレ玉/FM NACK5

『VIVA LA GARDEN 』
開催日:4月28日(金)16時〜5月7日(日)まで
会場:けやきひろば(埼玉県さいたま市中央区新都心10)
入場無料、荒天中止

『auスマートパス・うたパス presents「VIVA LA ROCK 2017 前夜祭」』
日時:5月2日(火)、開場18:00 / 開演19:00 / 終演22:00(予定)
会場:さいたまスーパーアリーナ CAVE STAGE
出演:Creepy Nuts(R-指定&DJ松永) / BRADIO / フレンズ / リーガルリリー/ DJライブキッズあるある中の人

『SPICE presents「VIVA LA ROCK 2017 決起会!meets スガフェス!」 supported by eplus LIVING ROOM CAFE&DINING』
日時:4月13日(木) 開場 18:30 / 開演 19:00(終了 21:30予定)
会場:渋谷・eplus LIVING ROOM CAFE&DINING
出演:アーティストゲスト:大木伸夫(ACIDMAN)、スガ シカオ
VIVA LA ROCK:鹿野淳(FACT) / 河津知典(DISK GARAGE)

『Getting Better Presents「VIVA LA ROCK PARTY」』
詳細はこちら

『ALL NIGHT VIVA!』
チケット:ALL NIGHT VIVA!入場券(5月3日、5月4日、5月5日):各日22:00〜7:00 ¥3,000(共有エリア、女性エリア)
スマチケ
紙チケ
詳しくはこちら

『ティーネイジサイタマ』
応募資格:
・『VIVA LA ROCK2017』開催時にメンバー全員が19歳以下の埼玉県在住であること。
・4月23日(日)のライヴパフォーマンス最終選考および、5月3日(水・祝)、4日(木・祝)、5日(金・祝)のいずれかの日程でVIVA LA ROCK2017内CAVE STAGEでのライヴ出演が可能であること。
・バンドでもソロでもユニットでも、スタイルは自由。自分がロックだと思うものを鳴らしたりパフォーマンスする、埼玉のキッズのためのオーディション。
応募方法:
(1)HPでエントリーシートをダウンロード
(2)エントリーシートに必要事項を記入
(3)エントリーシート、音源データ、歌詞をメール or 封書で送付

応募に必要なもの:
エントリーシート:公式HPよりダウンロードし、必要事項を記入。
音源:CD-Rなどの音源でも、自作のミュージックビデオや、ライヴ映像をYouTubeへアップロードしたものでも可。オリジナル曲、カバー曲は不問。
歌詞:オリジナル音源の場合、歌詞の送付は必須。カバー曲の場合は不要。

ライヴハウス予選会日程
4月5日(水) 北浦和KYARA
4月6日(木) HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
※応募方法など詳細は各ライヴハウスへ問い合わせのこと。

北浦和KYARAlivekyara@livehouse-kyara.com/担当:安藤)
HEAVEN'S ROCK & さいたま新都心 VJ-3(担当:道古)

選考スケジュール:
デモ音源受付期間:2016年12月12日(月)〜2017年3月31日(金)まで
ライヴパフォーマンス選考:2017年4月23日(日)@さいたまスーパーアリーナ内TOIRO
※優勝者は、『VIVA LA ROCK 2017』開催日の5月3日(水・祝)、4日(木・祝)、5日(金・祝)のいずれかの日程で、『VIVA LA ROCK 2017』内、CAVE STAGEにてパフォーマンス

『オトミセ』
参加者募集:オフィシャルサイトよりエントリーシートをダウンロードし、必要事項を記入の上、メールか郵送で送付。
参加者応募受付:2017年4月14日(金)まで

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter
オフィシャルFacebook
『VIVA LA TV』YouTube公式チャンネル
『TOKYO LOUD』オフィシャルサイト

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