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『EXILE ATSUSHI LIVE TOUR 2016 "IT'S SHOW TIME!!"』

EXILE ATSUSHIが示す、アーティストとしての歩み 『IT’S SHOW TIME!!』ライブ映像を観て

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 EXILE ATSUSHIが昨年行った6大ドームツアー、その東京ドーム公演2日分の模様を凝縮して収めたDVD/Blu-ray『EXILE ATSUSHI LIVE TOUR 2016 “IT’S SHOW TIME!!”』が2月15日にリリースされた。初期からのEXILEファンにとっては、もはや“伝説の夜”となっている2日目のサプライズゲスト=清木場俊介との共演(約50分にわたるEXILE第一章メドレー!)も余すことなく収められた本作。それは、昨年デビュー15周年を迎えたATSUSHIというアーティストにとって、ひとつの集大成であると同時に、そのユニークな立ち位置と今後の未来を指し示す、実に興味深い映像作品となっているのだった。

 ソロアーティストとしては史上初となる6大ドームツアーを開催するにあたって、彼がまず最初に決めたのは、「演出を最小限に留めて音楽で勝負する」ことだったという。とはいえ、”IT’S SHOW TIME!!”と銘打たれたそのステージは、エンタテインメントの殿堂、ラスベガスのショーのように絢爛豪華で派手やかなものとなっている。頭上にぶら下げられたシャンデリアのような巨大照明装置から、ステージ中央に設置されたきらびやかな大階段まで。しかし、何よりも驚かされるのは、そこにズラリ並んだミュージシャンの人数だ。

 ホーン隊、ストリングス隊、さらにはコーラス隊を加えた、総勢40人のビッグバンド。各楽器ともども日本屈指の精鋭たちが顔をそろえるこのバンドが、開演間もなくして一斉に鳴らすそのサウンドは、まさしく圧巻のひと言である。そう、この極上極厚のサウンドこそが、ATSUSHIにとっては肝要だったのだろう。ゴージャス&グリッターな空間で観客を存分にもてなしながら、あくまでもそこで鳴り響く「音楽」そのものの力で勝負すること。そんな彼の「音楽」へのこだわりは、当然ながら、そのセットリストにも、如実に表れている。

 自身の楽曲の中でも、とりわけムーディ&ジャジーな一曲「Beautiful Gorgeous Love」で幕開けたステージは、ジャズのスタンダードナンバー「All of Me」から、ATSUSHI自らキーボードを弾いて歌い上げるマーヴィン・ゲイの「What’s Going On」へと続くなど、実にアダルトな雰囲気の中で展開してゆく。しかし、その後「道しるべ」のオーケストラ・バージョンを切々と歌い上げたあたりから、その雰囲気は緩やかに変化していく。中島みゆきの「糸」、サザンオールスターズの「慕情」、尾崎豊の「I LOVE YOU」など、J-POPのスタンダードとも言うべき楽曲を、ATSUSHIは極上のサウンドに乗せて、次々と歌い上げていくのだった。さらには、美空ひばりの「川の流れのように」に至るまで。

EXILE ATSUSHI / 糸 (EXILE ATSUSHI LIVE TOUR 2016 “IT’S SHOW TIME!!”)

 ちなみに、初日のサプライズゲストとして登場し、ATSUSHIと共演を果たしたのは、加山雄三とボーイズⅡメンだった(2日目には、清木場俊介が登場。いずれの模様も本作には収められている)。それにしても、何という振り幅なのだろう。しかし、恐らくそこで彼が提示したいのは、自身の「音楽性の幅広さ」ではないように思える。むしろ、自らの心を震わせてきた古今東西さまざまな楽曲を、極上のサウンドと自らの「歌」によって、分け隔てなく目の前の観客たちに披露してみせること。そんなフラットな在り方こそが、彼の存在と立ち位置を、他の誰とも違うユニークなものとしているのだろう。ステージ狭しと駆け回り、観客を鼓舞するタイプの「ロックスター」ではなく、謙虚かつ真摯に音楽の素晴らしさを浸透させる、新しいタイプの「ソロパフォーマー」。たとえ、どんなに大きなステージに立とうとも、どれだけ派手なスーツに身を包もうとも、MCで訥々と観客に語りかける彼の姿は、いつだって謙虚だ。そう、彼はデビュー以来一貫して、自らのエゴよりもファンの心を大事にする、「音楽」そのものの信奉者なのだ。

EXILE ATSUSHI / 君といつまでも with 加山雄三 (EXILE ATSUSHI LIVE TOUR 2016 “IT’S SHOW TIME!!”)

      

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