スカパラ、ユニコーン、ピロウズ、ノーナ、the GazettE……キャリアバンドの充実示す新作

 ポップミュージック研究家としても大きな功績を残している西寺郷太(V)、数多くのレコーディング、ライブに参加している奥田健介(G)、小松シゲル(Dr)によるNONA REEVESの、メジャーデビュー20周年を記念したベスト盤『POP'N SOUL 20~The Very Best of NONA REEVES』。「BAD GIRL」(1999年)、「ラヴ・アライヴ feat.宇多丸」(2005年)などのシングル曲を網羅した本作には、日本の音楽シーンにおけるポップの概念を刷新し続けきた彼らのキャリアが刻み込まれている。特筆すべきは新曲「O-V-E-R-H-E-A-T」。世界的なネオソウル、ディスコ・リヴァイバルの流れを汲みながら、最新鋭にして普遍的なポップソングを体現したこの曲は、まさに彼らの真骨頂と言えるだろう。踊れる日本語ポップスの最高峰を存分に味わってほしい。

 2002年に結成され、‘00年代以降のネオビジュアル系を牽引。下の世代のバンドにも大きな影響を与え続けているthe GazettEの結成15周年を記念したバラードベストアルバム『TRACES VOL.2』。全曲再レコーディングされ、現在の彼らの音楽性がリアルに反映された作品に仕上がっている。耽美的でドラマティックなメロディライン、隠喩を多用したダークファンタジー的な歌詞の世界観も印象的だが、もっとも注目すべきはメンバー個々のセンスとテクニックが存分に活かされたサウンドメイクだろう。プレイヤーの息づかいが伝わるような演奏、緻密で生々しいアンサンブルを含め、ビジュアル系という枠に留まらない、ロックバンドとしての魅力がしっかりと体感できる作品だと思う。

the GazettE 2017.03.08 RELEASE BALLAD BEST ALBUM『TRACES VOL.2』PREVIEW

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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