「サマソニ劣勢」とするのは早計? フジ&サマソニ第1弾出演者に寄せる期待

 続いて、フジロックの今後のラインナップに影響を与えるであろう、あるイベントの存在についても言及する。

「フジロックの出演アーティストは、よくこれだけのメンツを揃えられたなというくらいバランスがいいですね。Aphex Twinとビョークという日本でも人気の高いオルタナティブ・ミュージックのベテラン勢をヘッドライナーに据え、エレクトロニック・ミュージックの現行シーンの趨勢を担う面々を並べた。良いと思います。もともとフジロックが参考にしている『Glastonbury Festival』がRadioheadやFoo Fightersをヘッドライナーに据えるなど『ロックバンド回帰』の傾向にあるのとは対照的ですが、それでも順当なラインナップといえます。一部でAphex Twinがヘッドライナーを務めることに否定的な意見も見られますし、彼はトリックスター的なアーティストなので、数万人を満足させるようなパフォーマンスをするかどうかは蓋を開けてみないとわからないのですが、そもそも彼自身あまりライブを行なっていないため、貴重な機会とみていいのではないでしょうか。そしてもう一つ大事なポイントがあります。それは昨年から開催され、フジと同日の3日間にアメリカのニューヨークで行なわれる『Panorama Music Festival』です。同フェスは、フランク・オーシャン、A Tribe Called Quest、ソランジュなど、まさに今のUSシーンを代表するような強力なアクトが並んでいる。おそらくフジロックは今年からブッキングのハードルが相当上がったんじゃないかと見ています」

 さらに柴氏は、フジロックにおけるアーティストのフックアップ力についても以下のように評価した。

「フジロックに関して、最大の強みはヘッドライナーの次でしょう。The xx、LCD Soundsystem、Major Lazerは他フェスではヘッドライナーに匹敵するアクトです。前述した『Panorama Music Festival』などの存在を考えると、彼らのようなアクトが他のフェスではなくフジロックを選んだということに大きな意味がある。その背景には、フジロック自体がThe xxやLORDEを早くからフックアップし、フェスとそのオーディエンスとアーティストが関係を結んできたという実績が大きい。今年のラインナップで言えば、サンファやThe Lemon Twigsもまさに旬といえるアーティストですし、その力はまだ健在であることを思い知らされましたね」

 毎年、オルタナティブミュージックとメインストリームの音楽といった、その年ならではのラインナップで彩ってきた両フェス。今年の両フェスがフックアップするアーティストや、それぞれ残り1つのヘッドライナー枠への期待は膨らむばかりだ。

(文=編集部)

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