福岡の地が生む“外”へ向かうパワー HKT48の革新性は地方拠点がカギ?

 福岡を本拠地として活動するアイドルグループ・HKT48。AKB48グループ第4弾として2011年に誕生以降、現在まで着実に活躍の幅を広げてきた。2月15日にリリースされた9thシングル『バグっていいじゃん』では、シングル表題曲の選抜メンバーとして8名が初参加。グループの顔を固定することで人気・知名度を高めてきた48グループでは例を見ない大胆な試みに挑戦し、新たなグループのあり方を提示した(参考:HKT48が覆す、“シングル選抜”の概念 カップリング曲のみ先行配信の意図を読む)。本稿では、HKT48がもたらす革新性について改めて考えていきたい。まず、日本全国のアイドル現場に足を運ぶアイドル専門家のガリバー氏は、HKT48の「コンサート」にグループの優位性を見出していると語る。

「HKT48は、48グループの中でも全国規模のコンサートを定期的に行うことができているのが特徴の一つで、アリーナ・ホールクラス含め“劇場外”の活動にも強い。コンサートの内容も凝っていて見応えがあり、“アイドル×サーカス”や“アイドル×歌舞伎”のような実験的な見せ方に取り組んでいます。決して王道だけにとらわれず、あくまでアイドルの枠の中でできる意外な組み合わせにより、アイドルの新しい楽しみ方を提案してくれている。また、彼女たちのコンサートでは他アイドルはじめ持ち曲以外を歌うことも定番で、2年前のホールコンサート初日、一曲目にモーニング娘。『ザ☆ピース!』を歌った時はかなりの衝撃を受けました」

 一方、J-POPシーン全体に詳しいライターのレジー氏は「指原莉乃がグループに与える影響の大きさ」に言及し、彼女の存在自体が新たなことを生み出す源となっているのではと語る。

「タレントとしてもトップクラスの人気を誇る指原さんのそばにいることで、メンバーそれぞれがTVに出た時にアピールすることができるよう育っている。そして、HKT48が挑戦してきた新たな取り組みは、そんな指原さんの存在に依るところが大きいのも事実でしょう。しかし、圧倒的な存在でありながらも彼女自身が目立ちたいという思いではなく、自分の知名度をグループに還元するという意識で活動しているため、グループが一体となっていけるのだと思います」

 また、彼女たちが本拠地とする「福岡」にも革新性のカギが隠されているようだ。「人口増加の多い都市」1位(『平成27年10月1日付国勢調査』)、「開業率の高い都市」1位(『福岡アジア都市研究所『Fukuoka Growth July2016』)というデータが示すように、福岡市では様々な分野で活躍する新たな人々・文化が集う都市づくりが行われている(参考:http://facts.city.fukuoka.lg.jp/)。ガリバー氏は、そんな福岡のアイドルシーンにおけるHKT48の立ち位置について以下のように語る。

「福岡では天神を中心に、LinQなどの劇場を持つグループから、ばってん少女隊のような新鋭のグループまで多くのアイドルが活動しています。しかし、そのほとんどが九州出身者で構成され、ご当地ソングに力を入れるなど地元に根付いた活動を行っている。一方で、HKT48は九州出身以外のメンバーも増え、劇場での活動にこだわりながらも、先ほどのコンサートの開催例にもあるようにより全国を目指した展開を強化している。地方を拠点とするアイドルの概念に捉われず、福岡という都市と同じようにあらゆるものを取り入れ、外へむかって成長しているグループと言えるでしょう」

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